鳥取砂丘の天然記念物区域の地形変化を1970年, 1981年, 1990年に国土地理院が撮影した航空写真の画像を用いて解析した。写真上では, 砂丘の尾根と底部は, 地形の分布を特定できるほど明確には表現されていなかった。写真上で最も特定しやすい地形単位は, ほとんど連続的に35度で安定している安息角斜面である。安息角斜面は, 輝度により容易に別の場所と区別できる。この違いを利用して幾何補正後の画像から安息角斜面を分類し, 図上に異なった色で表現した。そして, 画像の重ねあわせによって地形の変動を解析した。この手順により, 安息角斜面の変動を容易に確認し, 移動距離を計測することができた。上述した手法のデータを検証するため, 国土地理院と鳥取県が発行している地図を用いた。データの精度を検討するために, 地図を用いて同様の重ね合わせを行った。その結果, 航空写真が砂丘の移動に関する有益な情報を十分な精度で提供することが示された。
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