有珠山は1977年8月7日から14日にかけて大噴火をおこした。降灰は有珠山周辺農地において数ミリから30センチにおよび, 農作物に甚大な被害をもたらした。
筆者らはリモートセンシング手法の農業分野への応用に関する研究の一環として, 航空機MSSデータを用いたディジタル解析を実施し, 有珠山噴火の降灰状況や農地被害調査の可能性を検討した。その結果, 各圃場の降灰被害作物, また広域の農林地の被害程度の判別は, 教師付分類により判別効率がそれぞれ59.3%, 70.3% (テストフィールド内) の精度で判別することができた。すなわちグランドトゥルースによる適切なトレーニングフィールド (教師) を選定し教師付分類を行なえば, 降灰による被害作物や農林地の被害程度の判別は可能であることが明らかとなった。また噴火による降灰厚さ分布は, 降灰厚12.5cm以下の地域ではCH.10-CH.7のチャネル間演算により判読することができた。
このように, 火山噴火による農地の降灰被害調査には航空機MSSデータのディジタル解析が有効であるといえる。
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