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A Survey in Northern Iloilo, Philippines
TUPAS Fernan Peniero, MATSUURA Toshihiko
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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This study is a descriptive survey of 100 early childhood education teachers from Northern Iloilo, Philippines. It aims to identify the different STEM activities, approaches, and strategies used in teaching students in nurseries, kindergartens, and grades 1 and 2 of elementary school. The results show that coloring (books) was the top response with 100%. Art crafts and drawing received 99%. However, asking questions and inspiring thinking were below 50%. It is important to note that STEM approaches are essential in early childhood education. The study suggests that the national government should support the further integration of STEM education into the curriculum.
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中島 康, ファイクハムタ チャトリー
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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タイ国における小学校初年度のテクノロジー教科書はIoT・ICTを使いこなす近未来的な家族とそのロボットが中心となる漫画で構成され,コンピューテーショナル・シンキングと関連するスキル(分類・段階的思考・体系的思考・問題解決のための試行錯誤及び手順作成など),簡単なプログラミング,描画ソフトウエアの利用方法とファイル操作,コンピュータの利用方法・安全管理などが取り上げられている.加えて,同教科書は一般に利用できるゲームアプリやオープン教育リソース(プログラム学習サイトなど)を教材として利用している.タイ国における初等教育初年度のテクノロジー教育は,IoT・ICTに対する肯定的なイメージの普及とコンピュータ・プログラミング及びコンピューテーショナル・シンキングに特化した内容の学習を含み,同国のIoT,AI等に焦点を当てた科学教育改革(STEM教育改革)の基礎となっていることが示唆された.
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ー前期中等教育段階の物理的内容に注目してー
中山 誠悠, 磯﨑 哲夫
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本研究の目的は,カナダ全体及びアルバータ州の科学カリキュラムにおけるscience, technology, society, and environment(以下,STSEと略記)の特色を明らかにすることである.本研究では,カナダ全体の科学教育に関するフレームワーク及びアルバータ州の科学カリキュラムにおける前期中等教育段階の物理的内容を分析した.分析の結果,両科学カリキュラムでは,STSEは理解すべき内容として位置づけられていた.また,カナダ全体の科学教育に関するフレームワークでは科学・技術が社会や環境へ与える影響を理解し,社会的正義の視点から行動することが,アルバータ州の科学カリキュラムでは具体的な装置の設計や改善が重視されていた.さらに,両科学カリキュラムで目指されている内容の理解や能力の育成については,学年を考慮して段階的に計画されていることなどが明らかとなった.
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-2009年から2019年に注目して-
張 峪霖, 岡田 寛明, 高 駿業, 磯﨑 哲夫
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本研究は,2009年から2019年までの,中国におけるscience, technology, engineering, and mathematics(以下,STEMと略記)教育の研究動向を明らかにすることを目的とした.本研究では,2009年から2019年の中国におけるSTEM教育に関する研究や実践の文献を整理し,内容を分析した.分析結果から,中国のSTEM教育に関する研究は,アメリカの研究や実践の紹介と分析から始まっていることが明らかとなった.また,2015年以降,STEM教育の一環としてMaker教育も注目され,中国のSTEM教育はMaker教育の研究と共に発展してきていると捉えることができる.
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中村 泰輔
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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科学の営みの一端を体験的に学ぶことを通じて,Nature of Scientific Inquiry(科学的探究の本性,NOSI)の理解を深めることを目指し,米国の理科教材を参考に,ダブルブラインドピアレビューを取り入れた授業を高等学校物理で実践した.本実践は,査読活動について生徒が体験を交えて知ることにつながり,生徒が持つ相互査読活動の興味関心も総じて高い傾向にあった.生徒は,査読コメントを受けて,あるいは査読者になった経験を通して,結果や考察の部分を中心に,自らのレポートの改善を図ったことが明らかになった.また,生徒自身が科学的探究を通して得られた知見を整理,分析し,伝えるという一連の過程に熟達する一助となることもうかがえた.一方,匿名であるがゆえに,コメントの言葉遣いへの配慮などの課題も見えた.
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宇都宮 俊星, 福井 智紀
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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特定の社会的課題に焦点を当てて生徒の意思決定・合意形成を促す教材開発や実践がいくつか報告されている.従来は指導者側が予め,特定の社会的課題に焦点を当てることが多かった.本研究では生徒の手に委ね,生徒自らが仮説を構築していく過程に着目した教材を開発し,高校1年生に対して実践した.また開発した教材の効果と課題を明らかにすることを目的とした.開発した教材に沿って,調べ学習や少数での議論を通して,社会的課題に対する仮説を構築できた生徒が存在した.一方で,仮説の構築に至らず疑問や問いの段階に留まっている生徒も散見され,教材や支援方法に対して改善の余地が明らかになった.
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松山 友香, 神山 真一, 舟生 日出男, 山本 智一
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
フリー
本研究では,第6学年理科「生物どうしのつながり」において,マイクロプラスチック(以下,MPs)による生物濃縮のしくみを活用した食の安全に関する科学的判断を促す授業を開発し,「科学的な判断」と「意識の変容」の観点で,授業の効果を分析した.授業では,松山ら(2023)によるシミュレータとアーギュメントを導入し,マグロへの有害物質の蓄積と食中毒予防の視点から食の安全を科学的に判断させた.「科学的な判断」におけるアーギュメントの記述分析では,41名中34名の児童が,生物濃縮のしくみとMPsの性質を活用した科学的判断を正しく行えたことが明らかになった.「意識の変容」における質問紙調査では,特に,日常生活と食中毒予防における科学的判断の有用性を認知させることができた.
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田中 達也, 山口 悦司
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本研究の目的は,教員志望学生を対象としたアーギュメント評価能力の向上を支援する教師教育プログラムの有効性を検証することであった.有効性の検証に際し,学生のアーギュメント評価能力がプログラムの前後でどのように向上したのかを明らかにした.まず,学生の自己評価能力の向上を検討するために,学生自身が構成したアーギュメントについて,学生による自己評価とプログラムの指導者による評価の一致・不一致の変化を分析した.次に,学生の指導的評価能力の向上を検討するために,小学生が構成すると想定して作成されたアーギュメントについて,学生による評価がプログラムの指導者による評価と一致したかどうかの変化を分析した.これらの分析結果から,教員志望学生のアーギュメント評価能力の向上を支援するというプログラムの有効性が検証された.
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俣野 源晃, 山口 悦司
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本研究の目的は,小学生に対して複数の証拠を利用したアーギュメントを構成する際,証拠の質と強さの認識的理解に着目した理科授業を行い,単元後の小学生の証拠の質と強さに関する認識的理解の深化がアーギュメントにおける複数の証拠の利用に影響を与えたのかを明らかにすることであった.証拠の質と強さの認識的理解に着目した授業を経験した小学5年生対象に,理科「日なたと日かげの地面の温度」のアーギュメント記述調査と,証拠の質と強さの認識的理解に関する面接調査を行った.その結果,小学生にとって証拠の質と強さの認識的理解の深化が複数の適切な証拠をアーギュメントに記述するか否かに必ずしも影響を与えないという可能性が示唆された.
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-受講生の自己評価と教員評価の基礎的分析-
三輪 泰大, 加藤 則行, 風間 健宏, 佐賀 達矢, 伊藤 真之
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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次世代の科学技術人材育成に向けて, 高校生等対象の科学教育プログラムが大学等を中心に開発・実践されている。これらの展開にあたり, 受講生の成長を評価し, 教育プログラムの設計に還元していくことが求められる。本研究では, 科学技術振興機構グローバルサイエンスキャンパスの支援を受けて兵庫県内の4大学が連携して実施するROOTプログラムにおける受講生の資質・能力の伸長を,受講生の自己評価と教員による評価に基づいて分析した。その結果, (1) 受講生の自己評価はプログラム第一段階開始時から約半年後の修了時にかけて伸長すること, (2) 教員評価が高い受講生は, 同期間に課題設定能力や科学的探究力の自己評価がより高まり, 価値検討能力も大きく伸長することが分かった。さらに, 研究課題提案作成の過程が, 課題設定能力や科学的探究力を高める観点から教育プログラムとして機能していることが示唆された。
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瀬戸崎 典夫, 田代 穂香, 北村 史
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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長崎大学情報データ科学部は,長崎市との共同研究を進めており,情報系企業とも連携したデジタルファブリケーションによる創造的学習環境を開発し,多面的な評価を試みている.そこで,本稿では長崎大学と長崎市との共同研究で開発を進めている「創造スイッチ tec-nova Nagasaki」の概要を示すとともに,今後の展望として学習者の学びの可視化について述べる.まず,tec-nova Nagasakiのテーマや参加対象となる学習者を示し,実施期間や実施場所に加えて,産官学の連携イメージについて言及する.また,今後の展望としてビデオ撮影による記録やポートフォリオ等の分析に加えて,制作過程における生成AIとの対話を記録することで,学びの可視化を試みる.
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杉原 麻美
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本稿では、地域の社会教育施設(板橋区立教育科学館)と地域企業(松本精機)の協力を得て,淑徳大 学人文学部表現学科の学生がSTEAM教育の実践として2023年6月~10月に実施した科学実験教室の活動について報告する.学生は,教育科学館の視察や企業訪問からヒントを得て,「『スベる』の実験室へようこそ」というコンセプトで滑り台に手作りのソリを滑らせる企画を考え,100組以上の児童・親子が参加するイベントを成功させた.取り組んだプロセスについて学生自身が記事執筆や展示発表を行うことによって,自身の経験を俯瞰して省察することも行った.また,情報・知識リテラシー育成の観点から,①情報の知識化 ②知識の活用 ③知識の共有化・社会化 ④知識の組織化・マネジメント化 について多層的な学びが生まれていることを考察した.
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本平 航大, 片岡 恋惟, BISWAS Biplob Kanti, MOHOMED Shayan
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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留学生によるアウトリーチ活動は,研究における研究者と一般市民のコミュニケーションに留まらず,異文化交流の観点からも有意義であると考える. 一方で,言語の壁などの問題から,留学生が市民公開講座を開催するには難点もある. 本研究では,北海道大学の博士課程の留学生による市民公開講座を開催し,札幌に住む一般市民を対象に大学における研究内容と留学生の出身国の紹介を行った. 参加者に実施した事前事後のクイズ,事後アンケートの結果から本市民公開講座を評価した. 講座に対して,高い満足度を得たものの,多くの参加者が内容に難しさを感じており,今後の課題として挙げられた. 一方,「勉強」「交流」「つながる」などのワードがアンケートから抽出され,異文化交流としての側面を確認できた. 今回の研究から留学生による市民公開講座の課題や強みが確認できた. 効果的な講座の開催に向け,追加の実践を続けていく予定である.
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ケアンズ日本語補習授業校小学校第6学年児童の学びから
平瀬 健一, 大貫 麻美, 石沢 順子, 橋本 隆公
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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国際的に継続して取り組む必要のあるサスティナビリティ・コンピテンシーの涵養に関し,ケアンズ日本語補習授業校における実践について事例研究を行った. 事例は,小学校算数教育6年間の総括として行った授業である.この授業は2020年までのグレートバリアリーフの海面水温とサンゴ礁白化現象の変移を示した2つの海洋環境に関するデータを活用し,今後どう行動するべきかを考えることをねらいとしていた.この事例研究を通して,算数における「データの活用」の学習場面で,生物多様性保全やリスク社会への対応について「予測的コンピテンシー」 を発揮する児童の様子などが見られた. 一方で「方略的コンピテンシー」の発揮には課題が見られる児童もあった.学習過程では,日本語・英語の双方で科学的事象を理解し説明するといった教科横断的理解がなされ,その意義も児童に認識されていたことが明らかとなった.
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高橋 一将
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本研究の目的は,我が国の理科におけるNOSの導入について示唆を得ることである.まず,理科への導入の際に生じる次のNOSの変形の可能性について検討した:理科を通じて育まれた科学の理解により生じる変形,日本語由来の科学に対する理解により生じる変形,そして,諸外国の科学教育の構成要素を理科教育に持ち込む際に生じる変形.次に,小川(1998)の理科の枠組みに基づいてNOS導入を検討し,次の2点の理科へのNOS導入に対する示唆を導出した.1点目は,導入されるNOSの内容は,西洋科学の認識論も含んだ西洋科学そのものの性質を中心的に扱っている必要があることであり,2点目は,NOSの内容の理解を通じて得られる世界の見方は,児童・生徒の世界の見方と異質のものである必要があることである.そして,後者の示唆に対応することは,本稿で扱った潜在的な変形を最小限にとどめることにもつながる可能性があると考えられる.
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松浦 拓也, 三好 美織, 木下 博義, 影山 和也
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
フリー
インクルーションは,特別支援教育の文脈のみに限定されない幅広い考え方である.本研究においては,「つまづき」や「学びにくさ」に対してどのようなアプローチが有効なのか,理科(science)における指導法の視点から先行研究を整理することにより,多様な子供を包摂するインクルーシブな理科教育の実現に向けた示唆を得ることを目的とした.主として学習障害(LD)の生徒を対象とした指導法に関する研究を収集し,有効性が報告されている指導法の特徴を整理することにより,複雑な学習である探究においても概念や情報を視覚的,構造的に扱うことや,明示的な指導といった支援をすることで学びが深まることを示した.
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渡辺 駿, 磯﨑 哲夫
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
フリー
本研究の目的は,現在,小学校と中学校の教育の接続(以下,小中接続と略記)の発展,改善が求められていることを踏まえ,円滑な小中接続を目指して実践されてきた小中一貫教育における理科の学習指導の特色を明らかにすることである.小中一貫教育の制度化の変遷や,理科の小中一貫教育に関する研究の具体及び実践について文献分析を行った結果,小中一貫教育では指導の系統性・連続性の実現が目指され,理科の学習指導では,科学的概念の系統性や児童・生徒の発達の段階を考慮したカリキュラムの編成,到達目標の設定,9年間を見通した指導指針の策定,などを通して,指導の系統性・連続性の実現が図られていることが明らかとなった.
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-イギリスのPACKS projectの理論的背景を事例に-
野村 優成, 嶋田 亘佑, 磯﨑 哲夫
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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世界的に,コンピテンシー・ベースのカリキュラム改革が進行する中,現行のイギリスのナショナル・カリキュラムでは,知識ベースのカリキュラム改革が行われた.一方で,イギリスの科学教育に関しては科学的探究活動のより一層の重視も叫ばれている.では,科学的探究活動において知識はどのように取り扱われているのだろうか.本研究では,R. Millarらの“The Procedural and Conceptual Knowledge in Science (PACKS)プロジェクト”に着目し,科学的探究活動における知識の取り扱いを明らかにすることを目的とする.分析の結果,PACKSプロジェクトは,科学的探究活動における方法知の側面を3つの手続き的知識として捉え直し,手続き的知識のサブカテゴリーと関連づけて科学的探究活動の教授・学習モデルを構築しているところに意義があると言える.
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―J.J.シュワブの「流動的探究(fluid enquiry)」の具体例の提示として―
磯部 和宏
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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シュワブの「流動的探究」の特質や具体的なイメージの解明が求められてきた.また,今次改訂された中学校・高等学校の学習指導要領の理科において,科学的探究の意義が強調されている.それに対して本研究は,『PSSC物理』と高等学校「物理」の教科書におけるニュートン力学と量子力学の布置関係を解明して,その過程を「流動的探究」の具体例の提示として意義づけることを目的としている.『PSSC物理』と高等学校「物理」の5社の教科書の原子分野を対象に,ニュートン力学から量子力学への「流動的探究」の記述を含む箇所を抽出した.その結果,『PSSC物理』の原子分野では,高等学校「物理」の教科書の原子分野には見られない,より包括的な理論を発展させる「流動的探究」が遂行され,ニュートン力学と量子力学の包括的な布置関係が明示されている.
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森重 比奈, 野村 純, 加藤 徹也
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
フリー
中学校の理科の授業において薬品や火器の使用を伴う実験活動は, ケガのリスクと隣り合わせである. 実験事故の防止に向けた取り組みは広く行われており, 学習指導要領の改訂のたびに実験の内容や教科書の記述が見直されているが, 理科の授業中の事故をゼロにすることはできていない. そこで本研究では, 新聞報道から読み取る近年の事故の傾向と学習指導要領の解説における理科の観察, 実験活動の安全への取り組みの変遷について調査した. この結果, 近年は主に硫化水素中毒の事故が多く, ケガ人の人数は5年前比べて約4倍になっていることがわかった. 一方, 学習指導要領の解説の調査からは事故防止に関する留意項目は, 昭和34年発行時の解説と比較して, 近年は増加していた.
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木村 優里
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
フリー
本稿では,アマチュア科学者の科学実践への参入時期及び誘因を明らかにするために,アマチュア科学者を対象とした質問紙調査の結果をもとに分析を行った.その結果,参入時期として最も多かったのは,小学生であったが,社会人以降に参入した人も一定数存在することが示された.また,参入の誘因としては,対象そのものや環境要因,身近な人の影響,コミュニティとの関わりなどが示された.特に,社会人以降に参入する誘因の特徴として子どもの影響が示されたことから,子どもからの影響により大人が変容できる可能性が示唆された.
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-理系研究室に所属する学生の質的縦断的調査から-
岡本 紗知
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本研究では,大学の理系研究室に所属する学生に注目し,研究室に所属する前後で,研究者についての考えがどのように変化するかを明らかにすることを目的に実施した.対象となったのは国立大学の理系学部に所属する18名の学生で,この学生たちが研究室に所属する直前から1年間に渡り,計3回のインタビュー調査を実施した.得られたデータは定性的コーディングにより分析を行なった.その結果,学生たちの考える「研究者の資質・能力」は7コードに分類された(1. 情動とその行動化;2. 知識;3. 思考力;4. 主体性;5. 忍耐と継続;6. 技術や操作;7. コミュニケーション力).インタビュー最終回では,特に「情動とその行動化」を重視する学生が増加し,この要素が自身の研究者としての資質・能力の判断に影響を及ぼすことが示唆された.
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越智 拓也
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本研究では,授業実践研究における当事者性について論考することを目的とした。教育実践研究における実践者自身の教員としての経験と研究者としての経験を現象学的に解釈しようとする際,そこから1人称視点を取り去ることは難しい。その際に課題となる研究者としての自分自身と,実践者としての自分自身との乖離について検討するために「自己再帰性」に着目した。実践研究に関わる諸理論として,アクションリサーチ,オートエスノグラフィー,マイクロ・エスノグラフィーについて概観した。その結果,実践者自身の当事者性について詳細に記述することは,実践者自身に深い自己省察を促し,反省的実践に基づいて教師としての専門的成長を促すこと,厚い記述にすることで研究の反証可能性や翻訳可能性を高めることにつながることを指摘した。
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林田 知子, 和田 一郎
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
フリー
近年生命科学領域では分子生物学をはじめとする新たな知見の増加や,バイオテクノロジーなど工学等他領域との融合が進んでいる.高等学校理科における生物領域の学習内容でも,分子レベルの物質が複雑に関わりながら現象が成立していることの理解が求められている.教材等ではそれら理解のために外部表現(ER),モデル図,顕微鏡写真,アニメーションなどが用いられている.しかし,それらの不適切な解釈および未成熟な使用から,学習者の概念に基づく推論上の問題が発生しているという指摘がある.そこでSchönborn&Anderson(2009)が提唱した,学習者の能力に影響を与える7つの要因としてのCRM(conceptual-reasoning-mode)モデルを援用し,このような概念的な(conceputual)理解に基づく推論上の(reasoning)課題を解決してく方略と授業デザインについて明らかにした.
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小八重 智史, 中村 大輝, 鎌田 英一郎, 渡邊 茂一
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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STEAM教育は,産業界等の後押しを受けて学校教育内外で急速な実践の広がりを見せている.しかし,STEAM教育とは何かという概念や用語の整理が不十分なままに実践が展開されることに対する懸念もある.これに対して,国内ではSTEAM教育の動向と現状の整理やエンジニアリングデザインプロセスの特徴の整理,STEAM教育学習プロセスの提案などについて研究が進められている.そこで,本研究は学校教育で実施するSTEAM教育の題材設計に着目し,インストラクショナルデザインに基づいて授業設計をするために改訂版タキソノミーを用いてSTEAM教育を整理することを試みた.検討の結果,YakmanのSTE@M Pyramidを参考に,改訂版タキソノミーの認知プロセス次元(記憶,理解,応用,分析,評価,創造)を適用した概念モデル「STARモデル」の開発に至った.
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川越 至桜, 玉澤 春史, 中野 多恵, 山邉 昭則, 大島 まり
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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社会的な課題を解決するとともに将来の社会をデザインできる創造性を持った人材育成として,STEAM教育が重要視されており,我が国では教科等横断的な学びとして「総合的な探究の時間」等が新設された.一方,探究学習の課題の一つとして評価方法が挙げられる.様々な評価方法が開発されているが,分野を問わず探究学習を評価できるような標準的な指標は確立されていないのが現状である.本研究では,探究学習の評価方法を確立させることを目指し,高校生を対象としたSTEAM型探究学習プログラム「UTokyoGSC-Next」において,自己評価のプロトタイプを開発し,受講生に対して自己評価アンケートを実施した.その結果,参加前(事前)よりも参加後(事後)の自己評価の平均点が高かった.また,選抜通過者の自己評価の平均点は,非通過者に比べて低い傾向にあり,通過者は自分自身を厳しく自己評価している可能性があることが示唆された.
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渡邊 莉育, 貴志 浩久, 田村 仁志, 不破 輝彦
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
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通常,ものづくり作業者の技能は,製作物の出来栄えや作業時間で評価される.しかし,技能を人間の能力と考えると,技能を発揮した結果(=出来栄えや作業時間)ではなく,人間自身を測定・評価することに大きな意義がある.本研究の目的は,生体計測に基づく普遍的なものづくり技能レベルの評価法を開発することである.電子機器組立て作業を対象にして難易度の異なる2種類の作業に対して,作業中の作業者の生体計測の結果から作業者の技能レベル評価を行い,フライス加工作業に対する先行研究と比較した.加えて作業中の視線計測を行い,文献から得た各種の技能に対する解析結果と比較した.その結果,統計的検証は不十分であるものの,技能レベルと脳血流量との関係,および注視点傾向について,電子機器組立て作業の技能とそれ以外の技能とで得られた結果は同様な傾向を示した.これは普遍的なものづくり技能を評価できる可能性を示すものである.
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影山 和也, 西 宗一郎
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
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本研究の目的は,すべての人のための理数教育(インクルーシブ理数教育)という理念のもとで,空間的推論を軸とした総合的な単元開発を進めることである.そのために本稿は,事象を理解したり変形したりといった目標のために働く,基本スキル(図を作成すること,映すこと,デザインすること)と下位スキル(合成・分解,変更,運動など)の組み合わせとして空間的推論を捉えた.そして,「ボーリング調査課題」に集団で取り組む中学校第三学年生徒の振る舞いを観察し,多彩なスキルの組み合わせとしての空間的推論の特性を調査した.その結果,空間的推論には個々人の能力というだけではなく,図を介して互いに影響し合うという状況的で社会的,創発的特性があることが明らかとなった.
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ー小学校教育実習に向けた「理科指導法」の模擬授業指導を事例としてー
杉本 剛
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本研究は,データ駆動型GIGAスクール構想対策を主題とした,小学校理科教員養成における,ICSTシステム・OPPA導入に関する課題を検討することを目的とした.兵庫県内の大学において,「理科指導法」を実施した. 第4回授業で,ICSTシステムを詳解する講義,第5回授業で,担当単元のコンセプト・フロー等を作成する演習を実施した.杉本(2023)で示された課題に取り組むため,第7回授業で,ICSTシステム導入の意義,作成したコンセプト・フロー等の確認テストを実施した.第9-15回の授業で,模擬授業を実施した.ICSTシステム,OPPAを導入した模擬授業を実施した感想等を自由記述により求め,SCAT:Steps for Coding and Theorizationで分析した.
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仲井 勝巳
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本稿は,大学の教職課程の授業科目(理科・理科教育法)や卒業研究(ゼミ)において,小学校の実務経験を持った大学教員が,その実務経験をどのように活かしたのかを整理した.小学校理科の観察や実験,指導案の作成,模擬授業,教師や児童の視点を持つこと,校外学習の取組などを紹介し,事例的に考察した.そして,実務経験を活かすことで,教員を目指す学生が教職のイメージ(指導の仕方など)を持つことを示した.
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鳥谷部 光, 上村 礼子
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本研究は課題研究の指導者を育成するための,効果的な校内体制の構築方法を明らかにすることを目的として行ったものである.令和5年度に実施された日本理化学協会による調査の結果(日本理化学協会調査部,2023)から,探究の指導ができる教員の育成が課題であることが示された.そこで本研究では,研修を実施するための校内体制を構築し,課題研究の授業に関する研修,課題研究の指導と評価に関する研修,課題研究の指導力向上に関する研修を実施した.研修後の教員の様子や教員を対象とした質問紙調査の結果から,実施した研修が課題研究の指導に効果があると感じている教員が一定数いることが明らかになった.
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上村 礼子
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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日本理化学協会調査部では令和5年6月に全国の理科教員を対象とした探究に関する調査を実施した.令和5年8月に開催された日本理科教育大会で調査結果の概要について報告したが,本研究では探究活動や課題研究に関するアンケートの回答を詳細に分析し報告することを目的とした.その結果,探究活動や課題研究などの探究学習を困難にする要因としては授業の時間の不足,施設・設備の不足,教員の経験の不足などの回答の割合が高くなっていた.また,探究の指導を担える教員の不足や人材育成が課題であると感じている教員が少なくないということが明らかとなった.
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-諸外国の文献レビューを中心として-
石飛 幹晴, 工藤 壮一郎, 松浦 拓也
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本研究の目的は,科学的探究の「問い」の生成場面に関わる研究で使用される「問い(question)」,「問題(problem)」,「課題(task)」,「疑問(interrogative)」というキーワードに対する諸外国の文献の捉え方を整理することであった.上記の用語をタイトルに含む論文292件を抽出し,当該論文の文脈における各キーワードの意味と論文中で明記されている定義を整理した.その結果,①「question」は,日本の文脈では明確に区別されている「問い」と「疑問」を包括したものとして解釈できること,②「problem」の捉え方は,簡単な計算などの演習問題レベルから更なる調査を要する日常文脈でオープンエンドな問いのレベルまで様々であること,③「task」は,学習者に何らかの形で提示される課題として解釈されており,日本の文脈での解釈とは大きな隔たりがあることが明らかとなった.
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山口 忠承, 内山 亜希乃, 高見 静香
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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人工甘味料として知られているアスパルテームは, 酸による分解反応によりアスパラギン酸とフェニルアラニンの2種類のアミノ酸が得られる. 生成する2種のアミノ酸の精製の方法や, アミノ酸に関してクロマトグラフィー法による純度の確認や核磁気共鳴法による化学構造の分析の方法が学べる化学教材の開発を目的として, アスパルテームを原料にした化学実験教材の開発を行った. 実際に, 教職課程の大学院生対象に教材の実践を行い, 教育効果について検討を行った.
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多様な場面への「てこの規則性」の適用
宮脇 友則, 山本 智一
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本研究では,小学校第6学年理科「てこの規則性」において,児童の仮説へのコミットメント形成を促進する授業を開発し,運勢ラインを導入することで,その効果を検証した.小学校第6学年の児童37名を対象に,てこが水平につり合うときの規則性を見つけ出させ,それを仮説として10 gのおもりでは検証できなかった条件や第2,3種てこに「てこの規則性」を適用させる実験を行い,3回運勢ラインを記述させた.運勢ラインを記述したワークシートを分析した結果,児童の仮説への信用度合いには有意な向上が見られた.このことから,多様な場面へ「てこの規則性」を適用する本研究の授業は,児童の仮説へのコミットメント形成を促進するために有効であることが示された.
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土砂災害・橋梁被害・津波災害への対策技術をテーマとして
出口 明子, 白石 智子, 海野 寿康, 飯村 耕介, 藤倉 修一
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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筆者らは土木分野の人材育成を指向した教育プログラムの開発と実践,及びその評価に取り組んでいる.道路,鉄道,港湾,ダム等の社会インフラは老朽化による大規模更新の時代を迎えており,土木技術の分野は人材育成が強く求められる領域の一つである.本研究では科学教育,土木学(土質力学・構造力学・水工学),及び心理学の専門家からなる研究チームを組み,地震による土砂災害・橋梁被害・津波災害への対策技術をテーマとして,高校生を対象とした教育プログラムの開発に着手した.本稿ではそのプログラムの概要について解説する.
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髙橋 あおい
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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2022年のICOMの新定義に見られるように博物館には多様性と包摂性が求められている.我が国においてもこれまでに多様性と包摂性の観点から様々な博物館調査や取組事例の紹介,研究などが行われてきた.しかしながら,幼年期の子どもとその家族を対象にした研究はほとんどなく,また,利用実態についても明らかにされていない.そこで本稿では,篠山チルドレンズミュージアムを事例に,特別なニーズを持つ子どもとその家族がどの程度子ども博物館を訪れているのかについて明らかにすることを試みた.調査の結果,篠山チルドレンズミュージアでは来館者の多様性が確保されていることが示唆された.
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辻 宏子, 出口 明子
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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近年の生成AIについてはその導入や活用の仕方を含め様々な議論が進められている.しかし科学教育においては,とりわけ「生成AIによる教育」の観点から十分な議論がされているとは言い難い.このような現状に対し,本稿では科学教育における生成AIの活用について検討し,その基礎的なアイデアを抽出することを目的とする.特に国内における生成AIの効果的な利活用を検討すると,ICTの特性を踏まえた情報の入出力や文章作成などの「生成AIが得意とする」部分での活用がみられる.一方で「生成AIが苦手とする」部分での活用が,特に初等教育段階における算数・数学などにかかる教育に対して効果を期待できることがうかがわれる.今後の課題として,「生成AIが苦手とする」部分での利活用という点について,理論的・実証的に検討・考察を進めることである.
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樋口 真之輔
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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地球上の多様な生物には共通の祖先が存在することがわかっており,これが今日の生物にみられる共通性と多様性に反映されている.進化の道筋を枝分かれした樹木のように表したものを系統樹といい,多くの人々がその意味するところを直感的に理解することができる.しかし,中学校の理科を学んだ人は,その態度が真面目であればあるほど身近な生物の分類群を誤って理解しかねず,それ以後も修正されることは少ない.本研究では,「脊椎動物の分類と進化」,「陸上植物の分類と進化」および「相似な形質と相同な形質」を,中学校の科学教育における「生物の分類と進化」にまつわる3つの問題と位置づけて,誤概念がいかに形成されうるのかについて検討している.これまでに得られた結果からは,「生物の進化」を科学教育で扱うにあたって,本質的であるものの厳密な議論が避けられている事柄のために,かえって分類群に対する理解に問題が生じていると考えられた.
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