ハロタン麻酔下の手衛侵襲が犬好中球の貪食作用に及ぼす影響について, 犬好中球のラテックス貪食率から検討した。臨床的に健康な雌犬12頭を用いてアトロピンの前処置後チオペンタールで麻酔を導入し, OF麻酔で20分間維持した後, 同麻酔下で卵巣子宮摘出術を実施した。犬好中球のラテックス貪食率はアトロピンやチオペンタールの投与によっては変化しなかったが, 20分間のOF麻酔および手術終了直後には手術前の51.0±8.5% (平均±S.D.) に比較してそれぞれ有意に減少して41.8±7.1% (p<0.Ol) および37.4±6.0 (p<0.001) となった。しかしながら, 20分間のFO麻酔後の値と手術終了直後の値との間には有意差は認められなかった。また, 減少した犬好中球の貪食率は手術後1日目には手術前の値に回復した。
以上のことから, 犬好中球の貪食作用はハロタン麻酔で低下し, 手術侵襲による影響は少ないことが示唆された。
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