獣医麻酔外科学雑誌
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45 巻, 1 号
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短報
  • 工藤 徹也, 南 毅生, 奥田 綾子
    2014 年 45 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/15
    ジャーナル フリー
    3歳7ヶ月齢、体重6.5 kgのパグが軟口蓋過長による呼吸困難を疑われ来院した。口腔内診査では軽度軟口蓋過長が認められたほか、右上顎第3前臼歯が臨床的欠歯であり、左上顎第2前臼歯が半埋伏であった。CT画像診断では左右上顎から鼻腔にかけて嚢胞による気道の狭窄が認められた。過長部軟口蓋の切除後も呼吸困難は継続して認められたことから、嚢胞の切除手術を実施した。左右各々の嚢胞内には埋伏歯が認められ、病理組織検査結果から含歯性嚢胞と診断した。嚢胞の切除後に患者の呼吸状態は顕著に改善し、術後280日でのCT検査では嚢胞の再発は認められなかった。手術から500日経過した現在も呼吸状態は良好である。短頭種犬では外鼻孔の狭窄や軟口蓋過長などの上部気道の狭窄を生じる疾患が多く認められるが、歯原性嚢胞の発生も他犬種と比較して多くみられることから、呼吸困難を生じた際の鑑別診断の1つとして考えるべきである。しかしながら埋伏歯に伴う歯原性嚢胞では臨床症状を伴うことが少ないため発見が遅れがちである。そのため臨床的欠歯を認めた場合には早期に診断を行う必要性があり、歯科処置の際には常に口腔内レントゲン検査を行うべきである。
  • 石田 智子, 小沼 守, 小野 貞治, 村上 彬祥, 佐野 忠士
    2014 年 45 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/15
    ジャーナル フリー
    ウサギ160症例における麻酔関連偶発死亡症例を調査した。American Society of Anesthesiologists Physical Status (ASA)分類に必要であった検査のうち、ASA分類ⅠでもX線検査で4.7%(2/43)、ASA分類Ⅱの血液検査で22.6%(12/53)、画像診断で30%(15/50)に異常が認められたため、積極的な術前検査によりできるだけ信頼度の高いASA分類をする必要性があると考えられた。避妊手術や去勢手術では麻酔関連偶発死亡例はいなかったが、子宮疾患や尿路結石、消化管閉塞の症例のうち、麻酔危険度の高いASA分類Ⅲ以上(ASA分類Ⅲ 1例; ASA分類Ⅳ 2例)で麻酔関連偶発死亡例が各1例あった。麻酔関連偶発死亡症例は全体で1.9%(3/160)となったが、すべて24時間以内(手術開始1時間後2例、18時間後1例)に心停止で死亡した。今回の結果から、ASA分類Ⅲ以上のウサギでは、麻酔関連偶発死亡率が高くなるため、手術開始から24時間以内は十分なモニタリングには行うべきであると考えられた。
  • 伊藤 晴倫, 原口 友也, 板本 和仁, 田村 欣也, 上林 聡之, 水野 拓也, 仲澤 宏, 谷 健二, 田浦 保穂
    2014 年 45 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/15
    ジャーナル フリー
    膀胱タンポナーデにより排尿困難を呈した3歳5ヶ月齢の去勢済み雑種猫において、術前の血液凝固系検査で著しいAPTTの延長が認められた。本症例は凝固因子活性検査の結果、第XII因子欠損症と診断された。本症例における膀胱タンポナーデの原因として、FLUTIやカテーテル挿入による医原性損傷が主たる要因として考えられたが、憎悪因子の1つとして第XII因子欠損症が関与していた可能性が疑われた。
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