ジェット方式による吸気方法を採用した小動物用人工呼吸器 (タイムサイクルタイプ) を改造して大動物用麻酔装置を作製し, 馬への応用の有用性を評価した。
サラブレッド種成馬, 5頭を用い, キシラジン1.0mg/kg, ミダゾラム0.01mg/kgおよび塩酸ケタミン2.5mg/kgの静脈内投与により導入・倒馬後, 仰臥保定としイソフルレンおよび酸素の吸入麻酔を実施した。麻酔開始30分後より, 自発呼吸から調節呼吸に変更し, 吸気時間1.0秒, 最大吸気圧20cmH
2O, 呼吸数8回/分とし, 次に吸気時間を1.0, 1.5, 2.0および2.5秒の順にそれぞれ15分間づつ継続後に変更した。
吸気時間と動脈血炭酸ガス分圧 (PaCO
2) および一回換気量の関係は, 直線回帰分析によりPaCO
2 (mmHg) =-21.18×吸気時間 (秒) +79.07, 一回換気量 (m
l/kg) =7.69×吸気時間 (秒) +2.37で表された。また, 自発呼吸時を100%とした心拍出量は, 吸気時間2.5秒の条件で平均77.8%に有意に低下した。本麻酔装置の馬への臨床応用は可能であり, 換気条件は吸気時間1.0~2.0秒, 最大吸気圧20~27cmH
2Oおよび呼吸数8回/分が望ましいことがわかった。
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