獣医麻酔外科学雑誌
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42 巻, 1 号
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短報
  • 原口 友也, 板本 和仁, 原田 秀明, 谷 健二, 仲澤 宏, 田浦 保穂
    2011 年 42 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/18
    ジャーナル フリー
    2歳齢、雄のアメリカン・コッカー・スパニエルが慢性鼻出血を主訴に来院した。X線CT検査で真菌感染症が強く疑われたが、生検・培養検査・血清学検査で真菌感染を証明できなかったため、左鼻腔・前頭洞切開術を実施し鼻腔粘膜を切除した。切除した粘膜組織は病理組織検査により、真菌性肉芽腫と診断されたため、抗真菌剤の投与を行った。その結果、本症例は3年4ヵ月以上再発を認めずに生存している。以上より、X線CT検査で真菌感染症の特徴的な所見が得られた場合は、検査で感染が証明されなくても、診断・治療のために適切な鼻腔や前頭洞切開による鼻粘膜の生検が必要であると考えられた。
  • 神田 鉄平, 池田 慎, 大内 真菜美, 長﨑 絢子, 山本 理恵, 森下 友裕, 前田 憲孝, 佐々木 崇了, 古本 佳代, ...
    2011 年 42 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/18
    ジャーナル フリー
    メデトミジン(MED)が引き起こす体温低下に対して加温輸液を静脈内投与することの効果について健康なイヌを用いて検討を行った。生理的食塩液(control)あるいはメデトミジン40 μg/kgを筋肉内投与し、同時に10 ml/kg/hrでリンゲル液を室温(RT)あるいはアニメック(ANI)、メディテンプ(MEDI)という二種類の加温装置を用いて4時間の静脈内投与を実施した。MED-ANI群では体温低下が僅かに緩和される傾向がみられたが、加温しない群と比較して統計学的に有意な差は認められなかった。結果から、イヌにおいて本条件での加温輸液の投与はメデトミジンによる体温低下を有意には抑制しないことが示された。
  • 伊藤 香奈子, 山谷 吉樹, 浅野 和之, 佐野 忠士, 亘 敏広, 渋谷 久, 佐藤 常男, 田中 茂男
    2011 年 42 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/18
    ジャーナル フリー
    19ヵ月齢の雄のボーダーコリーが慢性咳と間欠的な喀血のために紹介来院した。胸部CT画像にて左後葉の空洞性病変内に三日月状の空気層と球状の腫瘤からなるair crescent signを示し、CTガイド下生検による病理組織学検査において真菌の菌糸を認めた。このことから、この症例を犬の肺アスペルギローマと診断した。抗真菌薬による治療と肺葉切除により臨床症状が改善した。なお切除された標本からはAspergillus fumigatusが確認された。
  • 上島 信之, 三品 美夏, 渡邊 俊文
    2011 年 42 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/18
    ジャーナル フリー
    広範な片側性鼠径ヘルニアの未去勢雄犬に対して、総鞘膜を利用した外科的修復術を試みた。ヘルニア輪は去勢術後の総鞘膜を鼠径部に誘導し扇状に広げて被覆し、その補強に恥骨筋の一部も利用した。8ヵ月を経過したが、再発や合併症も認められず、経過良好である。本術式は、従来の縫縮法では修復が困難である鼠径ヘルニアに対し、人工材料を必要とせず、ヘルニア輪に無理な緊張を与えない有用性の高い術式の一つであると考えられた。
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