獣医麻酔外科学雑誌
Online ISSN : 1349-7669
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43 巻, 1+2 号
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総説
短報
  • 市川 美佳, 山下 傑夫, 岡野 久美子, 二瓶 和美, 垣内 孝彦, 小野 憲一郎, 小川 博之
    2012 年 43 巻 1+2 号 p. 21-25
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    11歳齢、雄のゴールデン・レトリーバーが線維腫と診断された前頭部腫瘤の再発を主訴に来院した。腫瘤は頭蓋骨への固着が著しく、眼窩へも浸潤しており、高分化型線維肉腫と再診断された。X線CT所見に基づき、頬骨突起と前頭骨の一部を含めて腫瘤を切除するとともに、圧迫され変形した眼球を摘出した。切除後の摘出部位の修復は、側頭筋を剥離し反転させた被覆と多孔性ゼラチンスポンジの充填とした。術後、一時的な皮下気腫と皮膚発赤が認められたが経過は良好であり、術後約1年3ヵ月を経過した時点で腫瘍再発ならびに転移の徴候は認められていない。大型犬、とくにゴールデン・レトリーバーの頭部腫瘤については、病理組織学的に良性な線維腫と診断された場合であっても、高分化型繊維肉腫の可能性を考えた対応が必要と思われる。
  • 仲澤 宏, 森嵜 寛規, 伊藤 良樹, 土橋 英理, 田浦 保穂, 谷 健二, 板本 和仁, 原口 友也, 中市 統三
    2012 年 43 巻 1+2 号 p. 27-32
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    後肢麻痺を呈した組織球性肉腫のフラットコーテッド・レトリバー2例を経験した。症例1ではMRI検査で第2-3腰椎間の脊柱管内左側硬膜外に腫瘤が認められた。片側椎弓切除術による腫瘤の摘出と病理組織学的検査により組織球性肉腫と診断された。術後、後肢麻痺は改善し、ロムスチンによる化学療法を行ったが、第123病日に斃死した。症例2は右肘部軟部組織の腫脹、病理組織学的検査において組織球性肉腫と診断された。ロムスチンによる化学療法中に、後躯麻痺を呈した。MRI検査によって第2-3腰椎間に症例1と同様の腫瘤が認められ、X線CT検査にて全身性の転移が疑われた。これら2症例から後躯麻痺を呈する症例、特に、好発犬種においては、組織球性肉腫を鑑別診断に挙げる必要があることが示唆された。
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