全身麻酔下の犬において, ドパミン (DA) , ドブタミン (DB) , アムリノン (AM) およびミルリノン (ML) が全身・血液ガス交換に及ぼす影響を比較し, 病態による強心薬使い分けの指標の確立を目指した。
いずれも心拍出量は, 用量依存性に同程度に増加した。DAおよびDBは心拍数, 心筋酸素消費量を増加させた。DAは動脈圧を高用量で増加させた。DBは動脈圧への影響は小さかった。AMおよびMLは, 動脈圧, 血管抵抗および肺動脈楔入圧を低下させ, 高用量においては心拍数を増加させたが, 心筋酸素消費量の大きな増加はなかった。DAは低血圧を伴う心不全症例に, DBは多くの低心拍出量症例に, AMおよびMLは特に血管収縮を伴った心不全に対して有効性が高いと考えられた。いずれも, 高用量で用いると心拍数および心筋の酸素消費量の上昇が顕著となった。
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