Cushing症候群を呈した11歳, 雌, 体重8.3kgのウェストハイランドホワイトテリアが頭部MRI検査により下垂体巨大腺腫と診断された。本症例に対して下垂体切除術とホルモン補充療法による治療を試みた。手術中に摘出した組織は病理学的にACTH産生性前葉腺腫と診断された。手術前に認められたALP, Tcho値の上昇は術後に正常値範囲内に回復し, またACTH刺激試験の成績もまた顕著に改善した。さらに全身性の皮膚病変 (脱毛、皮膚結石症) は術後3ヵ月の時点ではほぼ消退した。本症例の一連の臨床経過は, 巨大腺腫と早期診断された下垂体性副腎皮質機能充進症において, 下垂体切除術は有用な治療法となることを強く示唆するものと考えられた。
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