健康犬を用い, 血液透析中および透析後のリンパ球を採取後, ナイロンウールカラム法により非付着性細胞を分離し, そのリンパ球幼若化能に及ぼす影響を経時的に観察した。実験群は, I群として全身麻酔下で血液透析を行ったもの, II群として全身麻酔下でダイアライザーを使用せず, 送血ラインのみの体外循環を行ったもの, III群として体外循環を行わず, 全身麻酔のみを行ったものの3群を設けた。白血球数は, I, II群ともに体外循環によって最初減少し, 60分後から回復する傾向を示した。一方, リンパ球数においてはI群のみに同様の傾向が観察された。また, 血液透析後のリンパ球数は経日的に抑制され, 長期継続する傾向にあった。体外循環実施中のリンパ球幼若化反応は, I群において, 開始後60分までは, 一時的な低下を示した。体外循環後のリンパ球幼若化反応の経日的変化は, 一時的な低下は見られたものの, 実験7日までにはI, II群間に有意差は認められず, 回復傾向を示した。
以上の結果から, 血液透析を行った場合, リンパ球総数は減少し, リンパ球幼若化反応の抑制が見られたことから, 非特異的免疫応答能の抑制が生じる可能性が示唆された。
抄録全体を表示