1週前より発咳を伴う呼吸器症状が観察された6週齢のホルスタイン種雄子牛2頭に対し, 動脈酸素分圧 (PaO
2) を指標にガス交換能の改善を目的として7.2%高張食塩液 (HSS: 2, 400mOsmol/kg・H
2O, 5m
l/kg) を静脈内投与した。その結果, 循環血漿量指数 (rPV) は両症例牛ともにHSS投与後高値を維持した。心拍出量 (CO) はHSS投与直後に最高値 (141.2および127.1%) を示す増加が認められたが,
t=60分目以降治療前値に復した。一方, 症例1および2の動脈酸素分圧 (PaO
2) は治療前の83.2および74.8mmHgに対し, 投与60分目にはそれぞれ95.3および89.4mmHgの最高値を示す上昇が認められた。以上の結果から, HSSが呼吸器症状の改善に有用であることが示唆されたが, COが投与60分目以降治療前値に復したことから, HSSの循環器系への効果は投与開始後60分以内であると考えられた。
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