獣医麻酔外科学雑誌
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27 巻, 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 瀬戸口 明日香, 廉澤 剛, 西村 亮平, 佐々木 伸雄
    1996 年 27 巻 4 号 p. 79-89
    発行日: 1996/10/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    犬1例, 猫3例で大量の腹水を主訴に来院した症例についてsclerosing encapsulating peritonitis (SEP) と診断した.全例において腹部X線検査, バリウム造影, CT検査等で高度に癒着した消化管と腹水の貯留が認められた.試験開腹を実施したところ, 大量の腹水が貯雷していた.腹膜および腹腔内臓器は厚い線維性組織によって覆われ, 繭の様な状態となっていた.外科的にこれらの組織を剥離し, 術後に利尿剤, ステロイド剤の投与などで腹水貯留の改善を試みたが著しい改善は認められなかった.SEPの報告は少なくその病態は明らかでない.今回の4症例は, 今後のSEPの診断および治療に有用な知見を与えると思われる.
  • 遠藤 薫, 遠藤 真弓, 福島 洋一, 深瀬 徹
    1996 年 27 巻 4 号 p. 91-95
    発行日: 1996/10/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    競技用洋弓銃に受傷した5歳の日本猫を治療した.矢は右眼球内眼角より刺入し, 左側肩甲部へ貫通していた.大きな血管の損傷, 頭蓋内への貫通, 眼球破裂などはみとめられず, 出血もほとんどなかった.軟部組織と矢の抵抗がなかったので, 矢をゆっくり引き抜き摘出した.摘出後も出血はなく, また新鮮創であったため, 局所の洗浄, 消毒と抗生物質の全身投与にて治癒した.ただし, 視力障害は残った.
  • 中田 陽子, 飯島 一華, 小坂 俊文, 桑原 正人, 田中 茂男
    1996 年 27 巻 4 号 p. 97-104
    発行日: 1996/10/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ハロタン, イソフルラン, セボフルランの3種類の吸入麻酔薬のイヌの細胞性免疫機能に対する影響についてリンパ球幼若化試験およびルミノール依存性化学発光法により検討した.
    ハロタン麻酔は負荷後1~2週間目とかなりの時間経過があった後に, イソフルラン麻酔は負荷直後~2日目と負荷後早期にリンパ球機能を抑制した.しかし, セボフルラン麻酔ではリンパ球機能の抑制はみられなかった.また, マクロファージ活性はどの麻酔薬によっても変動がみられなかった.
    以上のことから, 各種吸入麻酔ごとにイヌの細胞性免疫機能, 特にリンパ球活性に与える影響に差があることが示唆された.
  • 森谷 孝雄
    1996 年 27 巻 4 号 p. 105-111
    発行日: 1996/10/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    10歳雄のトイプードル犬において, 右第3乳頭と右鼠径部にそれぞれ5cm大の腫瘤が認められた.両腫瘤は完全摘出され, 乳腺癌とセルトリ細胞腫と診断された.腫瘍の発生はセルトリ細胞腫が先行しており, 雌性化徴候が明らかであった.また, 雄犬には乳癌の発生は極めて稀であるので, 後発の乳腺癌の発生にはセルトリ細胞腫の産生するホルモン因子が関与している可能性が示唆された.
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