下顎に腫脹が認められた猫2例において, 病理組織学的検査の結果, 扁平上皮癌と診断された。口腔内の軟部組織に病変はみられず, X線で下顎骨に著しい骨増生が認められた。これらの特徴は潰瘍や骨破壊を示す一般的な扁平上皮癌とは異なっていた。この2例に対して下顎骨片側全切除術を行い, いずれも1年以上にわたり再発・転移が認められなかった。今回の2症例から軟部組織病巣が乏しく, 骨増生の強い猫の口腔内扁平上皮癌は, 局所浸潤があるものの骨に限局しており, より良好な治療効果が期待できる可能性があると考えられた。
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