悪性中皮腫と診断された犬2例に対し抗癌剤の体腔内投与を行った。症例1は胸水貯留がみられ, 細胞診によって悪性中皮腫と診断された。3回のカルボプラチン投与により一旦完全緩解したが, 639日に再発した。症例2は腹水が貯留し, 試験開腹により確定診断を行った。カルボプラチンを腹腔内投与したところ部分緩解が得られ, 一般状態は改善した。しかし, 胸水の貯留は完全に抑制されなかったため, カルボプラチン, ドキソルビシンを胸腔および腹腔内に投与したが, 最終的に初診後268日目に死亡した。抗癌剤の体腔内投与は中皮腫のコントロールに有効であると思われた。今後抗癌剤全身投与の併用, 回数, 投与量など検討していく必要があると思われる。
抄録全体を表示