獣医麻酔外科学雑誌
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26 巻, 3 号
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  • 中村 一男, 冨澤 伸行, 原 茂雄
    1995 年 26 巻 3 号 p. 59-66
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    犬におけるMe・Ke混合投与による麻酔効果および循環器・呼吸器系に及ぼす影響について検討した。Me40μg/kgと2種類の用量のKe (5, 10mg/kg) を混合投与し, Xy2mg/kgとKe10mg/kgの混合投与群と比較した。
    その結果, Me40μg/kgをKe5mg/kgと混合投与した場合にはXy2mg/kg・Ke10mg/kgと同等以上の効果を示し, さらにKe10mg/kgと組み合わせた場合にはより強力な麻酔効果を示すことが認められた。いずれの群も薬剤投与後の心拍数, 呼吸数, 換気量の低下に伴い, PaO2, SaO2, pHa, [HCO3-] p, B.E.の減少とPaCO2の増加が認められた。各群の3頭ずつに呼吸性の不整脈と, Xy・Ke群の1頭に一時的な第2度の房室ブロックが認められた。平均血圧はいずれの群も薬剤投与後一過性に上昇した後に低下した。Me・Ke投与群はXy・Ke投与群と比較して平均血圧の増加の程度が大きかった。Me・Ke投与群はXy・Ke投与群と比較して循環器・呼吸器系への抑制が若干延長した。
  • 田口 清, 二ノ宮 青葉, 阿部 紀次, 山田 明夫
    1995 年 26 巻 3 号 p. 67-73
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    健康なホルスタイン種成乳牛17頭を4頭ずつ5群に分けて, 計20回のキシラジン・リドカイン混合液 (XL) による腰椎分節硬膜外麻酔を行った (3頭は1週間間隔で2度用いた) 。エフェドリンを投与しなかったコントロール群では硬膜外薬液投与後30~120分で約20%の平均血圧の下降がみられた。他の4群にはXL液の硬膜外薬液投与10分前に4種類の方法 (0.2mg/kg静注, 0.2mg/kg硬膜外投与, 0.5mg/kg皮下注, 1.0mg/kg皮下注) でエフェドリンを投与した。0.2mg/kg静脈内投与した群および0.2mg/kg硬膜外投与群では, それぞれ約15および10%の平均血圧の下降がみられたが, 1mg/kg皮下注射した群では20%以上の血圧上昇と鎮静効果持続時間の短縮がみられた。0.5mg/kg皮下注射群では, 収縮期, 拡張期, 平均血圧ともbaseline値を維持し, XL液による腰椎分節硬膜外投与による鎮静効果にも影響を及ぼさなかった。
  • 蔡 宗分, 菅沼 常徳, 信田 卓男
    1995 年 26 巻 3 号 p. 75-79
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    犬の右側前肢端部に発生した動静脈吻合の症例に対し, 単純X線検査, X線造影検査, 超音波カラードップラー法等の画像診断法と患部の心音図検査を実施した結果, 多吻合型の動静脈吻合例と診断された。そこで段階的な動脈血管の結紮法を考え, はじめに尺骨動脈の結紮, 約1ヵ月後に正中動脈の結紮を実施した。2回目の結紮から1カ月後の各種の検査所見では改善が認められ臨床症状も良好であった。以上の結果から今回実施した段階的な外科的結紮法は, 多吻合型で吻合部血管の確定が困難な症例に対しては有効な方法であると考えられた。
  • 森島 隆司, 浅井 亨, 浜渕 款
    1995 年 26 巻 3 号 p. 81-85
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    慢性外耳道炎を起こした3例の犬を治療した。症例1は, 外耳道移行部に直径5mmの耳垢腺癌があった。処置として腫瘍を剥離するよう切除した。症例2は, 外耳道入口付近に無茎カリフラワー状の皮脂性上皮腫が外耳道を閉鎖するようにあった。処置として外耳道外側V字切除術および腫瘍摘出術を行なった。症例3は, 外耳道全体が耳垢腺癌により肥厚閉鎖していた。処置として外耳道全摘出術と鼓室胞骨切り術を実施した。3症例とも術後経過は良好で, 外科処置後には慢性外耳道炎は消失し腫瘍の再発はなかった。3症例ともに外耳道の腫瘍が物理的原因となり, 外耳道の換気と排液を悪化させ外耳道炎を助長悪化させたものと思われた。
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