獣医麻酔外科学雑誌
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39 巻, 2 号
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原著
  • 千々和 宏作, 西村 亮平, 中島 亘, 大野 耕一, 佐々木 伸雄
    2008 年 39 巻 2 号 p. 21-27
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/17
    ジャーナル フリー
    卵巣子宮摘出術後の縫合糸反応性肉芽腫が疑われた犬22症例について、その疫学、治療、および長期予後を臨床的に解析した。22症例中15例(68%)がミニチュア・ダックスフントであった。診断時の年齢は、中央値3.5(1.1~9.3)歳齢、卵巣子宮全摘出術から診断されるまでの期間は、中央値2(0.3~4.3)年であった。最も多く認められた(13/22)症状は、嘔吐または下痢を伴うあるいは伴わない、元気消失、食欲不振、体重減少、発熱といった非特異的なものであった。検査した17頭中14頭(82%)で、血漿C反応性蛋白(CRP)の上昇を認めた。腹腔内の肉芽腫をすべて摘出した20例では、20症例中16例で、肉眼的または病理組織学的に縫合糸が確認された。周術期に腎不全で斃死した1例を除く19症例中8例(42%)が、経過良好であった。一方、11例は、肉芽腫性胃腸炎、脂肪織炎、無菌性肉芽腫などの新たな疾患の発症や、腹腔内肉芽腫の再発が認められ、11例中10例がミニチュア・ダックスフントであった。以上のことから、避妊手術後の腹腔内肉芽腫はミニチュア・ダックスフントに好発し、腹腔内の肉芽腫を外科的に切除しても、病理組織学的に肉芽腫性炎症を特徴とする新たな疾患を発症する可能性があるものと推察された。
  • 遠藤 薫, 原 康, 根津 欣典, 多川 政弘
    2008 年 39 巻 2 号 p. 29-33
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/04/17
    ジャーナル フリー
    健常な雑種成犬28頭について、ファイバーオプティック圧モニター法による脳脊髄液圧の測定を検討した。ファイバーオプティックカテーテルは、経皮的に穿刺針を用いて頸部および腰部脊髄のクモ膜下腔に挿入した。頸部の脳脊髄液圧は最高12.0 mmHg、最低2.0 mmHg、平均値±標準偏差6.11±0.54 mmHgの値を示し、従来から報告されている測定値と近似した値であった。一方、腰部の脳脊髄液圧は最高12.0 mmHg、最低2.0 mmHg、平均値±標準偏差5.93±0.55 mmHgであった。頸部と腰部の脳脊髄液圧間には正の相関が認められたが、それぞれの脳脊髄圧と平均動脈圧との間には相関性は認められなかった。また、エピネフリン投与による動脈圧上昇に伴う脳脊髄液圧の変化を観察した。動脈圧の上昇に伴った頸部と腰部の脳脊髄液圧の有意な変化は認められなかった。以上の結果から、犬における頸部および腰部脊髄の脳脊髄液圧は、ファイバーオプティック圧モニター法により安定的かつ連続的に測定することが可能と推察された。
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