5頭の馬を用いて2時間のイソフルラン麻酔下で輸液無投与, 乳酸リンゲル液の静脈内投与10m
lおよび40m
l/kg/時間の3回の実験を行い, 循環動態, 血液性状および臨床症状を観察した。右心房圧と平均肺動脈圧は無投与群では一定の値で推移したが, 投与群では時間経過に伴い, また, 用量依存性に上昇した。麻酔開始60分以降において40m
l投与群の右心房圧は他の2群に比べて, 平均肺動脈圧は無投与群に比べて有意に高かった。平均動脈圧および末梢血管抵抗は3群において時間経過にともない上昇, 心拍出量は時間経過と伴に減少する傾向にあったが, いずれも群間に有意差はなかった。投与群では赤血球容積と血清総蛋白値は用量依存性に, また, 時間経過により低下する傾向がみられ, いずれも60分以降において40m
l投与群は無投与群と比べて明らかに低かった。40m
l投与群の3頭には麻酔終了時に顔面の強い浮腫がみられた。乳酸リンゲル液の投与による血圧維持は困難であり, 40m
l/kg/時間の投与速度は安全性に問題があると考えられた。
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