気管内に甲状腺癌が浸潤して呼吸困難を呈した避妊雌、8歳のシーズ犬に対して、緩和的放射線治療と永久気管開口術を実施した。まず、常用電圧X線の緩和的放射線治療を低用量のシスプラチン5 mg/m
2静脈内投与を併用して、週1回9 Gyを3回照射した。2回目の放射線治療後に呼吸障害の改善を認めたが、治療後約5ヶ月で再燃し、呼吸困難を認めた。このため、病巣尾側の気管に永久気管開口術を行った。その結果、原発巣による呼吸困難を回避し良好なQOLが得られた。本症例は、肺転移巣が増悪するまで、術後約15ヶ月(放射線治療終了後約20ヶ月)生存した。
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