犬の急性膵炎の治療法としては, 絶食, 輸液療法, 抗生物質の投与など内科療法が主となるが, 総胆管閉塞を併発した場合, 外科的処置の必要性も考慮しておかなければならない。
本報告で著者らは, 急性膵炎の発症後, 総胆管閉塞症を継発した10歳, 雄のヨークシャテリアに対して胆嚢十二指腸吻合術を行った。術後のメトリザマイドによる消化管造影で, 十二指腸内容は広い吻合部を通って胆嚢内に入り, その後スムーズに十二指腸へと排泄されていることが確認された。患犬には術後3週間, H
2プロッカーのシメチジンと抗生物質のセファロチンの投与を行った。また, 胆嚢内での食塊の停滞と膵炎の再発を防ぐため, 処方食として線維とタンパク質を制限した食餌 (i/d, Hills) を与えた。
術後, 患犬は元気, 食欲共に改善し, 血液所見にも著明な改善が見られた。術後18ヵ月経過した現在も, 膵炎の再発や胆嚢炎と思われる臨床症状は認められていない。以上より, 胆嚢十二指腸吻合術は, 本症例において極めて有効な術式であることが確認された。
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