獣医麻酔外科学雑誌
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25 巻, 2 号
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  • 中間 實徳, 田中 明子, 永見 充弘, 中市 統三, 田浦 保穂
    1994 年 25 巻 2 号 p. 29-36
    発行日: 1994/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    犬においてメデトミジンによる鎮静効果とそれに対するアチパメゾールまたはヨヒンビンの拮抗効果について検討した。
    メデトミジン投与後平均3.2分で鎮静効果が現れはじめ, 7.2分で横臥した。アチパメゾール投与群はアチパメゾール投与後9.2分, ヨヒンビン投与群はヨヒンビン投与後19.1分, 生理的食塩液投与群は生理的食塩液投与後63.5分で起立し, それぞれ9.2分, 20.8分, 88.2分で歩行した。心拍数, 呼吸数, 血圧, 体温, 血漿グルコース濃度はアチパメゾール投与群とヨヒンビン投与群の間に有意差は認められなかった。
    メデトミジン投与による効果はアチパメゾールまたはヨヒンビンの投与によりすみやかに回復に向かった。本実験では, 起立, 歩行に至る時間はアチパメゾール投与群の方がヨヒンビン投与群より早い傾向にあり, より確実でスムーズな覚醒はアチパメゾール投与により得られることが示唆された。
    メデトミジンおよびアチパメゾールを提供して頂いた明治製菓 (株) に謝意を表する。
  • 杉山 智香, 久保田 泰一郎, 田中 茂男, 佐藤 敬
    1994 年 25 巻 2 号 p. 37-41
    発行日: 1994/04/30
    公開日: 2010/12/09
    ジャーナル フリー
    兎の大腿骨の骨髄中に, 直径0.5mmで長さ5mmの白金電極2本を20mmの間隔をおき刺入し, 医療において用いられている20μAと筆者らの検討の結果の電位をもとにした条件 (2.0~2.2V) で, それぞれ14日間通電した結果,
    1) 20μAでは2.5Vの通電となり, 骨髄中の陽電極周囲組織は壊死や変性, あるいはガス発生所見を呈し, 刺入部の骨皮質は肥厚した。
    2) 2.0~2.2Vでは, 陽・陰電極周囲に髄内仮骨, 刺入孔周囲に骨膜性仮骨がみられた。
    また, 通電による骨の仮骨の新生は, 損傷を受けた骨組織を中心として形成されることが判明し, 骨新生は髄内より皮質において高度で, また, この通電手技によると陽極側が陰極側よりも顕著であった。
  • 中山 正成, 辻岡 ひとみ, 田中 宏, 丹羽 淑子, 竹原 徳馬, 小笠原 成郎
    1994 年 25 巻 2 号 p. 43-48
    発行日: 1994/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    犬の急性膵炎の治療法としては, 絶食, 輸液療法, 抗生物質の投与など内科療法が主となるが, 総胆管閉塞を併発した場合, 外科的処置の必要性も考慮しておかなければならない。
    本報告で著者らは, 急性膵炎の発症後, 総胆管閉塞症を継発した10歳, 雄のヨークシャテリアに対して胆嚢十二指腸吻合術を行った。術後のメトリザマイドによる消化管造影で, 十二指腸内容は広い吻合部を通って胆嚢内に入り, その後スムーズに十二指腸へと排泄されていることが確認された。患犬には術後3週間, H2プロッカーのシメチジンと抗生物質のセファロチンの投与を行った。また, 胆嚢内での食塊の停滞と膵炎の再発を防ぐため, 処方食として線維とタンパク質を制限した食餌 (i/d, Hills) を与えた。
    術後, 患犬は元気, 食欲共に改善し, 血液所見にも著明な改善が見られた。術後18ヵ月経過した現在も, 膵炎の再発や胆嚢炎と思われる臨床症状は認められていない。以上より, 胆嚢十二指腸吻合術は, 本症例において極めて有効な術式であることが確認された。
  • 内山 孝志, 水野 豊香, 久保 厚, 石丸 睦樹, 高橋 敏之
    1994 年 25 巻 2 号 p. 49-55
    発行日: 1994/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    6頭のウマを用いて, 右側横臥姿勢においてイソフルレン麻酔下 (呼気イソフルレン濃度1.7±0.1%) で調節呼吸により動脈血二酸化炭素分圧を40±5mmHgに維持し, 3用量 (0.5, 1.0および2.0μg/kg/min) のドブタミンによる循環動態の変化を観察した。ドブタミン投与により平均動脈圧は用量依存的に上昇した。末梢血管抵抗は投与前に比べて明らかに増加したが, 投与量間での有意差はみられなかった。1回拍出量は投与前に比べて0.5μg/kg/minでは増加傾向, 1.0および2.0μg/kg/minでは明らかに増加し, 用量依存的な増加傾向を示した。心拍数は0.5および1.0μg/kg/minでは減少傾向, 2.0μg/kg/minでは増加傾向を示した。したがって, 心拍出量は0.5μg/kg/minでは投与前値からほとんど変化せず, 1.0μg/kg/minでは増加傾向, 2.0μg/kg/minでは明らかな増加を示した。このことから, ドブタミン投与による平均動脈圧の上昇は, 0.5μg/kg/minでは体血管抵抗の増加のみで, 1.0および2.0μg/kg/minではこれに心拍出量の増加が伴ったものと考えられた。
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