日本産野鳥111種2,189点の保護記録から, 骨折の発生状況を明らかにし, 予後因子を検討した。骨折は16%の個体に認められ, 骨折個体の保護治療後の放野率は28%であった。骨折部位は, 部位不明を除くと翼が全体の37%を占めており, 翼以外 (22%) を上回っていた。骨折の予後因子として最も重要なのは体格であり, 大型鳥では放野率30~40%であるのに対し, 特に小型鳥の翼部開放骨折の放野率は8%であった。また、放野までの保護収容期間は, 翼骨折で明らかに長期化しやすく, 3ヵ月近くに及ぶものも少なくなかった。これらのことから, 小型鳥の翼骨折に焦点をあて, 保護から放野に至るまでの一貫した治療プログラムの構築が, 重要な研究課題であると考えられた。
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