1. 金魚池では, 動物プランクトンのみならず, その他の第1次消費者も皆無に近い.したがって, 金魚池の食物環構造は非常に単純で, 生産者としての植物プランクトン, 終端消費者としての金魚, 分解者としてのバクテリアの3者が, その構成者となり, 金魚はほとんど植物プランクトンのみによって養なわれる.
2. 1958年の3月に, 各池ごとの金魚をすべて取り上げて, その総重量を求め, さらに, それぞれの池の金魚20匹ずつの平均体重と平均体長とを測定して, それらのデータと池の容積とから, 水塊1m
3あたりの尾数および重量を計算した. この計算の結果, 琉金の収獲量は, 1m
3の水塊あたり0.27kgから0.61kgである.
なお1957年の3月に池に放った稚魚は, すべて艀化後10日目のもの (平均体重は0.024g) で, どの池も等密度になるように, 池の容積に比例して約10,000~20,000尾の割で放魚された.
3. A型の池-緑藻を多産する池-と, B型の池-藍藻を多産する池-に養われた琉金の, 1年間の収獲量の問に, 差が存するか否かを検定した結果, A型の池での琉金の収獲量は, B型の池の場合よりも大きいことを明らかにした.
4. 第1報から第4報までの研究の結果を総合して, 水色, プランクトン, 琉金の収獲量の3者は, 密接なつながりをもつことを確かめ, 琉金の収獲量が高いためには, 藍藻類よりも緑藻類の生産が大きい時期の長いほうがよいこと, また緑藻類が多産する時期の長い池であるかどうかの判別法として, 水色が6月頃に, 明度および彩度の低い, 暗いオリーブ色を呈することが, 最も簡易な指標となることを発見した.
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