陸水学雑誌
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56 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 石田 昭夫
    1995 年 56 巻 2 号 p. 87-94
    発行日: 1995/04/28
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    山口県秋吉洞と韓国の洞穴水からそれぞれ採集された標本で記載命名されたソコミジンコ Attheyella coiffaitiと A.coreanaの両種について、地表水からえられた標本で再記載した。模式標本と地表水からの標本に見られた差異について論議した。
  • 三田村 緒佐武, 西条 八束, ヒノ コーゾー
    1995 年 56 巻 2 号 p. 95-105
    発行日: 1995/04/28
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    ブラジル,リオ・ドッセ湖沼群のドン・ヘルベシオ湖,ジャカレ湖およびカリオカ湖の生産層における尿素分解速度を雨季と乾季に現場法で測定した。表面水における尿素分解速度(尿素に由来する炭素の懸濁物への取り込み速度と,二酸化炭素として水中へ放出される速度の合計)は,ジャカレ湖の雨季に得られた低い値を除いて,15~41μmol urea・m-3・d-1であり,深度とともに減少した。富栄養化したカリオカ湖では,高い尿素分解速度が測定された。尿素分解の大部分は,二酸化炭素の放出の分画であった。表面水中の尿素の回転時間は,ドン・ヘルベシオ湖では雨季で6日,乾季で7日,ジャカレ湖では雨季で280日,乾季で8日,そしてカリオカ湖では雨季で4日,乾季で2日であり,これらの回転時間は深度とともに増加する傾向が認められた。本研究結果は,尿素はバクテリアよりも植物プランクトンによってより分解され,熱帯湖の生産層でも,雨季乾季ともに,尿素は速やかに循環する生元素化合物であることを示している。
  • 池田 知司, 渡辺 雄二, 三木 眞弘, 大西 庸介, 籏持 和洋, 清原 正高, 宮永 洋一, 石田 祐三郎, 河合 章
    1995 年 56 巻 2 号 p. 107-124
    発行日: 1995/04/28
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    貯水池に発生するPeridinium bipesによる淡水赤潮の増殖要因を明らかにするため,数値シミュレーションモデルを作成し,旭貯水池(奈良県)をモデル地点として本種の増殖要因を検討した。
    1982年から1988年の間について毎日のP.bipes現存量を計算した結果,計算値は実測値を良好に再現できた。この計算結果を解析した結果,以下のことが判明した。
    (1)P.bipesの増殖期は主に5月から11月にあり,6~8月に最大増殖速度が認められた。本種の増殖の季節変化は主に水温に左右された。
    (2)増殖制限因子は12~4月の問は水温で,5~11月の間はリンであった。
    (3)本種の現存量の経年変化は,主に流入河川から供給されるリン濃度に左右された。
    (4)1983年は3~4月に現存量が最大となったが,この理由としてシストの発芽が考えられた。
  • 山田 正人, 宗宮 功, 安永 望, 小野 芳朗
    1995 年 56 巻 2 号 p. 125-135
    発行日: 1995/04/28
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    淡水赤潮を形成する渦鞭毛藻Peridiniumの自然群集の走光性による遊泳速度を,温度と光強度を制御した条件下で,顕微鏡-CCDカメラ-VTRを組み合わせた観察システムを用いて観測した。測定された線形の遊泳速度ベクトルについて,ベクトルの大きさ(遊泳速度),角度(遊泳方向),垂直成分(垂直遊泳速度)を解析した。Peridinium群集の平均遊泳速度は主に温度に対応して変動した。群集の中で上方に遊泳する個体の割合は温度と光強度に依存していた。Peridinium集の平均垂直遊泳速度の予測式を得るため,これらの経験的な応答を定式化し,仮定した変動因子と組み合わせたモデルを提案した。モデルを測定したデータ群に適合させたところ,Peridinium群集の走光性による遊泳応答がよく再現できた(0.02~2.11m・hr-1)。この渦鞭毛藻の垂直移動を予測するモデルは,淡水赤潮の発生および集積のメカニズム解明に有用であると考えられる。
  • 墨田 廸彰, 渡辺 仁治
    1995 年 56 巻 2 号 p. 137-144
    発行日: 1995/04/28
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    1990年5月20,21日高知県の四万十川及び支流の17地点で得られた付着珪藻群集及び各地点で測定した環境要因について検討した結果,次の結論を得た。
    1.DAIpo値は四万十川では61~96,支流では68~90であった。これらのDAIpo値は,従来の汚濁階級で示すと,すべての地点が貧腐水性以上の清冽な水域として,1つの汚濁階級に含まれてしまう。
    2.四万十川について,DAIpo値から汚染度数量評価地図を作製し,RPIDを求め86の値を得た。
    この値は極貧腐水性に属する値であり,本河川が総体的に極めて清冽な河川であることを示している。しかし北陸地方にも,流路長,流域は小さいが,これに匹敵する河川がみられる。
    3.DAIpo値とシャノンの多様性指数(Di)の相関図は,DAIpo値が大きくなるにしたがって,Diが小さくなる傾向が認められた。
  • 関野 樹, 吉岡 崇仁
    1995 年 56 巻 2 号 p. 145-150
    発行日: 1995/04/28
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    1991年7月,木崎湖において,Daphnia galeataの貯蔵脂質量により評価される栄養状態と日周鉛直移動との関係を調査した。D. galeata個体群は日中表層と底層の2つのグループに分かれて分布した。表層のグループは未熟個体と栄養状態の悪い成熟個体より構成されているのに対し,底層のグループは栄養状態の良い成熟個体のみで構成されていた。これら2つのグループのうち,底層の成熟個体は日周鉛直移動を行うが,表層のグループの未熟・成熟個体は終日表層に留まることが,鉛直分布の日変化から示された。これらの結果からD. galeataはその生活史と関連しながら,栄養状態の高い成熟個体が鉛直移動を行う性質のあることが示唆された。つまり、栄養状態と捕食者回避の間にtrade-offが存在していたことが考えられる。
  • 南湖・北湖の水の交換とそれに伴う生物地球科学的変動
    熊谷 道夫, 中野 伸一, ヨルグ インバーガー, 平山 彰彦, 和氣 亜紀夫, 板倉 安正, 遠藤 修一, 奥村 康昭, 津田 良平, 田 ...
    1995 年 56 巻 2 号 p. 151-156
    発行日: 1995/04/28
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    Lake Biwa Research Institute (Japan) and Centre for Water Research (Australia) have jointly organized BITEX'93, which was held at Lake Biwa from August 21 to September 16, 1993 under the sponsorship of the Science and Technology Agency of Japan, the Local Government of Shiga Prefecture, and some Japanese companies with a strong interests in lake environmental problems. The experiment involved a total of 177 biologists, physicists, chemists, technologists, students and staffs from Australia, Canada, USA, China, lsrael, Spain, Korea and Japan. The aim of this experiment was to examine the mechanism of horizontal and vertical transport of mass, momentum and energy in a large in a lake such as Lake Biwa and to relate these mechanisms to the biogeochemical processes operating in the lake. Although many studies have been done during the experiment to clarify the mechanisms, only biogeochemical changes due to the transport between the North and the South Basins of Lake Biwa are reported here.
  • 河合 崇欣
    1995 年 56 巻 2 号 p. 157-159
    発行日: 1995/04/28
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
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