目的:高齢ストーマ保有者の社会参加の状況や社会参加の動機を明らかにし,社会参加に関連する要因を検討することである.
方法:65歳以上の高齢ストーマ保有者を対象に,ストーマ装具販売店を経由した郵送法による無記名自記式質問紙で調査し,社会参加「あり」と「なし」に分け,社会参加の状況を比較した.
結果:対象は,ストーマ装具販売店16店舗からストーマ保有者1,330人に質問紙を送付して有効回答が得られた338人(25.4%)である.社会参加割合は39.6%であった.社会参加に関連する要因は,「精神的・時間的・体力的側面の余裕」「ストーマ管理上の不安」「個人の積極的な動機」とともに,身近な人から活動の誘いを受けるなどの「同伴者の存在と助力」の4つの観点が存在した.
考察:高齢ストーマ保有者の社会参加に関連する要因は,「精神的・時間的・体力的側面の余裕」が自覚され,「ストーマ管理上の不安」も軽減され,「個人の積極的な動機」が出現することである.これらは主観的な健康状態が改善したことを意味する.さらに,「同伴者の存在と助力」による他者からの肯定的な後押しも,高齢ストーマ保有者における社会参加に関連する重要な要素である.これら4つの要素は,互いに影響を及ぼし合う複合的な課題である.そのため,関係する職種・機関が連携し,協働で地域支援体制を整備していくことが必要である.
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