緑茶カテキンはヒトの健康維持や増進に有用な様々な機能性を有しており,近年ではその抗肥満効果が注目されている.しかしながら,緑茶葉中のカテキンで大半を占める没食子酸エステル型のEpigallocatechingallate(EGCg)やepicathechingallateは非エステル型のepigallocathechin(EGC)やepicathechinよりも容易に食餌成分(例えばタンパク質)と複合体を形成することから腸管壁からの吸収率が顕著に低いことが知られている.他方,我々はタンナーゼを産生する乳酸菌Lactobacillus plantarum Lp22A-3株が食餌成分と複合体を形成したEGCgを加水分解してEGCと没食子酸に変換することを
in vitroで確認している.そこで,我々はLp22A-3株がマウス腸内において複合体を形成したEGCgを腸壁から吸収され易いEGCに変換することで抗肥満効果が得られるかを検証した.その結果,EGCgおよびタンナーゼ産生乳酸菌を併投与したマウス群で糞便中のEGCg含量のみならず体重当たりの内臓脂肪量も顕著に減少することが確認された.これらの所見から,タンナーゼ産生乳酸菌Lp22A-3株は
in vivoでもタンパク質等と複合体を形成したEGCgをEGCに変換すること,さらには緑茶カテキンの抗肥満効果を促進するプロバイオティクスとして利用できることが示唆された.
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