腸内細菌学雑誌
Online ISSN : 1349-8363
Print ISSN : 1343-0882
ISSN-L : 1343-0882
最新号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
総 説
  • 吉井 健, 細見 晃司, 國澤 純
    2022 年 36 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/04
    ジャーナル フリー

    「内なる外」と呼ばれる腸管は,上皮細胞を介して外界と接しており,そこに存在する多種多様の異物に対応するため,多くの免疫細胞を集積させている.これら異物のなかには,数百兆個にもおよぶ腸内細菌も含まれており,腸管の恒常性維持における腸内細菌と腸管免疫システムの相互作用の重要性が注目されている.各細菌は腸内の特有の領域に局在し,直接的作用,もしくは産生する代謝物を介し,宿主の免疫システムに影響を与えている.本総説では,近年の分析技術の向上に伴い実態が明らかになりつつある腸内細菌を介した免疫制御について,著者らが得ている最近の知見を中心に紹介したい.

  • 田之上 大, 新 幸二
    2022 年 36 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/04
    ジャーナル フリー

    T細胞は抗原特異的な免疫応答において中心的役割を担う免疫細胞であり,その分化・機能に腸内細菌が関与することが知られている.T細胞のうちαβT細胞受容体を発現するT細胞はCD4T細胞およびCD8T細胞に大別される.CD4T細胞のうちTH1細胞と呼ばれるサブセットは細胞内寄生細菌に対する免疫応答に重要であるとともに,その過剰な活性化は自己免疫疾患の発症・増悪に関与する.一方,TH2細胞サブセットは寄生虫感染防御応答に重要であるかたわら,花粉症や喘息などのアレルギー応答の増悪にも関与する.また,CD8T細胞は病原性細菌・ウイルスやがん免疫応答に重要な役割を担っている.この記事では,これらTH1,TH2およびCD8T細胞応答とその関連疾患に関与する腸内細菌を紹介する.

  • 尾畑 佑樹
    2022 年 36 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/04
    ジャーナル フリー

    消化管は生体内で最大の感覚器官であり,腸の組織内および管腔内の動的な微小環境を常に監視するための巧妙な仕組みを備えている.消化管固有の神経システムである腸管神経系(Enteric Nervous System, ENS)は,腸管ニューロンおよびグリア細胞から構成されており,腸内環境モニタリングにおいて中心的な役割を果たしている.ENSは,消化管生理機能のほぼ全てに関与していると考えられており,その異常は過敏性腸症候群をはじめとする様々な慢性腸疾患の原因となり得る.ENSは自律的に働く神経回路を有するため,その機能の多くは脳からの指令がなくても維持される.一方で,ENSは腸-脳相関(Gut-Brain Axis)の中継基地としての役割も果たしている.近年,腸内微生物がENSの発達や機能に影響を与えることが報告されている.しかしながら,腸内微生物-神経系クロストークの根底にある分子メカニズムは未だ解明されていない.本稿では,腸内細菌由来因子が消化管神経回路を修飾する仕組みについて,我々の知見を交えて紹介する.

feedback
Top