腸内細菌学雑誌
Online ISSN : 1349-8363
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27 巻 , 4 号
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総  説
  • 本田 賢也
    2013 年 27 巻 4 号 p. 187-196
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/07
    ジャーナル フリー
    消化管は常にあらゆる微生物侵入の危険にさらされている.そのため,消化管は強い活性を持つ免疫細胞から構成される頑強な免疫システムを備えている.一方で,消化管免疫システムは,日常的に接する無害な食物抗原や腸内常在細菌に対しては,不必要に免疫応答しないよう制御されている必要がある.この活性化と抑制がどのようにして制御されているのか,その詳細なメカニズムは明らかになっていない.近年,ノトバイオート技術と最新の免疫学を組み合わせて解析することによって,個々の腸内常在細菌種の消化管免疫系の活性化と抑制双方における役割が徐々に明らかになってきている.中でもクロストリジア網(Clostridia class)に属する細菌種が,消化管免疫系に深く影響を与えることが明らかとなってきている.特に制御性T細胞(Treg細胞)とよばれる免疫抑制に特化した細胞の数を増やし,その機能を高める細菌種が,クロストリジアクラスターIV・XIVaに含まれることがわかっている.また一方で,クロストリジアに属すると考えられるセグメント細菌(segmented filamentous bacteria,SFB)が,Th17細胞とよばれるエフェクターT細胞を強力に誘導することも明らかとなっている.本稿では,腸内細菌の構成異常と疾患との関連,腸内細菌に影響を受けて構築されるユニークな消化管免疫システムの概略,そしてクロストリジアに属する細菌による免疫細胞活性化誘導機構について紹介する.
  • 指原 紀宏
    2013 年 27 巻 4 号 p. 197-202
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/07
    ジャーナル フリー
    乳酸菌の中には宿主の免疫応答を刺激する作用を有するものがあり,種々の免疫関連疾患に対する改善効果が考えられることから,実用化を目的としてその有用性を検証した.Th1/Th2バランスを是正する免疫調節活性の高いL. gasseri OLL2809を選出し,その有効性を評価すると抗原特異的IgEの抑制効果や好酸球増多に対する抑制効果が認められた.同株を用いてスギ花粉症罹患者を対象に臨床試験を実施したところ,鼻づまり等の鼻症状が軽減された.その他の免疫関連疾患として,NK活性との関連が示唆される子宮内膜症に対しては,モデル動物において病変部の成長抑制効果が認められた.さらに,子宮内膜症罹患者を対象に有効性を臨床評価したところ,主症状である月経痛に軽減が認められた.以上の一連の研究から,高い免疫調節活性を示すOLL2809株は,アレルギーや子宮内膜症等の免疫関連疾患に対して症状の軽減等に有効であり,罹患者のQOLの向上に貢献できることが明らかになった.
  • 細野 朗
    2013 年 27 巻 4 号 p. 203-209
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/07
    ジャーナル フリー
    生体で最大の免疫系組織である腸管には膨大な数と種類の腸内細菌が共生し,宿主の消化吸収はもちろんのこと,免疫系に対しても大きな影響を及ぼしている.Bacteroidesはヒトやマウスの腸内細菌叢を構成する細菌の優勢菌のひとつであるが,その菌種としての特性や宿主に及ぼす機能性に注目した研究は,近年注目されてきている.腸内共生菌は摂取した食品由来成分や腸内共生菌の代謝産物などの腸内環境によって強く影響を受けており,Bacteroidesはオリゴ糖をはじめとする難消化性糖類を資化することができる.特に,Bacteroidesがフラクトオリゴ糖やその構成糖であるGF2およびGF3をいずれも資化することで腸内でのBacteroidesの増殖が活性化される.また,Bacteroidesは腸管免疫系に対して免疫修飾作用を有し,小腸パイエル板細胞に対するIgA産生誘導能はLactobacillusよりも強い.腸管関連リンパ組織の形成が未熟な無菌マウスに対しては,Bacteroidesを投与することによって小腸および盲腸のリンパ節における胚中心の形成を誘導するとともに,腸管粘膜固有層での総IgA産生を活性化することができる.さらに,Bacteroidesの菌体成分による免疫修飾作用は抗原提示細胞を介したT細胞応答の活性化や炎症反応の制御などを通して,生体の生理機能にも大きな影響を与えていると考えられる.
ノ ー ト
  • 村田 芳夫, 大森 啓充, 市川 麻紀子, 原田 暁, 上利 美智子, 福場 浩正, 山崎 雅美, 安澤 紀夫, 竹本 将彦, 池田 政宣, ...
    2013 年 27 巻 4 号 p. 211-215
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/07
    ジャーナル フリー
    パーキンソン病症例では,運動障害に加え便秘やイレウスなどの消化器症状が高率に出現することが知られている.今回,パーキンソン病患者8例(男性3例,女性5例,平均年齢73.5歳,平均罹病期間10.5年,Hoehn and Yahrの重症度分類4度および5度)と健常者7例(男性3例,女性4例,平均年齢69.0歳)の糞便性状および腸内菌叢を検索した.パーキンソン病症例では,糞便の形状・色調に統一した傾向はみられなかったが,糞便pHは健常例より有意に高かった(p<0.01).腸内菌叢の検索では,総菌数はパーキンソン病群と健常群との間に有意差はみられなかった.パーキンソン病症例ではVeillonella菌数は減少しており,特に経腸栄養症例では検出限界以下であった.Clostridium-other菌数は健常群と比較してパーキンソン病群で有意に多かった(p<0.05).
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