腸内細菌学雑誌
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23 巻 , 3 号
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総  説
  • 大草 敏史
    原稿種別: 総  説
    2009 年 23 巻 3 号 p. 193-201
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/04
    ジャーナル フリー
    炎症性腸疾患(IBD)は,狭義には原因不明の小腸,大腸の炎症性疾患,すなわち,潰瘍性大腸炎とクローン病をさしている.両者ともに,我が国では,欧米に比べ患者数は1/5-1/10と少ないが,近年になり,その患者数は年10%弱と増加しつづけ問題となっている.また,IBDは,従来は自己免疫疾患と言われていたが,最近の研究の進歩により,その炎症は腸内細菌によって引き起こされていると考えられるようになってきた.また,炎症性腸炎を自然発症するIL-10ノックアウトマウスや我々の開発したDSS腸炎で,乳酸菌やビフィズス菌といったプロバイオティクスが腸炎発症を予防し,発症後の腸炎を改善することが報告されてから,治療法の1つとして,プロバイオティクスの有用性が注目されてきた.さらに,最近では,乳酸菌に代表されるプロバイオティクスが潰瘍性大腸炎やクローン病などに実際に投与され,潰瘍性大腸炎では有効で,クローン病では効果がないといったという報告が多く出されている.本稿では,それらの最新の報告を中心に,プロバイオティクスによるIBDの治療の概括を述べる.
  • 富田 貴之, 日比 紀文
    原稿種別: 総  説
    2009 年 23 巻 3 号 p. 203-208
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/04
    ジャーナル フリー
    無菌環境下で腸炎モデルマウスは発症しないことから腸内細菌が腸炎の発症・維持に重要であることが推定される.Toll-like受容体(TLR)は,細胞表面にある受容体タンパク質で,種々の病原体を感知して働く.このTLRが自然免疫担当細胞(マクロファージ,樹上細胞等)のみならずT細胞にも発現することが最近の研究によって明らかにされ,腸内細菌による直接的なT細胞の制御活性化が示唆された.そのTLRシグナル伝達には,アダプター分子であるMyD88を介する.本研究では,腸炎発症及び維持に腸内細菌によるT細胞のMyD88系TLRシグナルが直接関与しているかどうかを検討する目的で,T細胞特異的MyD88欠損システムを構築し検討した.その結果,MyD88欠損T細胞移入腸炎はコントロールに比し有意に腸炎の減弱を認め,浸潤したCD4+ T細胞のBcl-2とBcl-xL mRNAの発現が有意に低下したことから,腸炎の維持に重要な腸炎惹起性CD4+ T細胞の増殖と生存に腸内細菌によるMyD88依存性TLRシグナルが直接的に関与していることが示唆された.
  • 永井 克也, 谷田 守, 福島 洋一, 山野 俊彦, 新島 旭, 前田 景子, 奥村 宣明, 堀井 裕子, 沈 嬌
    原稿種別: 総  説
    2009 年 23 巻 3 号 p. 209-216
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/04
    ジャーナル フリー
    筆者らはこれ迄ラットを用いて,低血糖状態,食品,香りや音楽などの種々の体内外の環境刺激が自律神経制御を介して様々な生理機能に影響を与えることを明らかにしてきた.乳酸菌に関しては,1)Lactobacillus Johnsonii La1(NCC533)のウレタン麻酔ラットへの十二指腸投与が副腎や腎臓を支配する交感神経を抑制し,胃を支配する副交感神経を興奮させて血圧を低下させ,無麻酔ラットへの投与が食欲を促進する,2)Lactobacillus paracasei ST11(NCC2461)のウレタン麻酔ラットへの十二指腸投与が白色脂肪,褐色脂肪,副腎,腎臓などを支配する交感神経を興奮させ,胃を支配する副交感神経を抑制して血圧を上昇させ,無麻酔ラットへの投与が脂肪分解と体温を増加させて食欲や体重を低下させる,などを示す結果を得ている.この際,横隔膜下で迷走神経を切断しておくと,NCC533の十二指腸投与による腎臓交感神経の抑制反応は消失したが,NCC2461の十二指腸投与による腎臓交感神経の興奮反応は消失しなかった.また,NCC533による腎臓交感神経活動の低下と胃副交感神経活動の上昇および血圧低下反応はSCN破壊やH3-受容体遮断剤により消失し,NCC2461の十二指腸投与による腎臓交感神経活動と血圧の上昇がH1-受容体遮断剤により消失する,なども認められた.これらの事実は乳酸菌による自律神経活動の制御を介する生理機能変化に体内時計(SCN)とヒスタミンニューロンが関与すると共に,NCC533の関与する反応には横隔膜下の迷走神経求心枝が関与することを示唆する.
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