Pityrosporum 属の
P. orbiculare, P. ovale, P. pachydermatis および
Pityrosporum sp. の生物学的, 血清学的性状の比較検討をおこない次の結果を得た. 1) 被検菌の中で,
P. ovale, P. pachydermatis と
Pityrosporum sp. は, アスパラギン, グルタミン酸, オルニチンを利用した. 2)
P. orbiculare, P. pachydermatis と
Pityrosporum sp. は, ニコチン酸により増殖促進をうけた. 3)
P. ovaleと
Pityrosporum sp. はオレイン酸によつて強い増殖促進をうけた. 4)
P. orbiculareは, 7.5%の乳酸ナトリウムにより強い増殖促進をうけ, 10%以上の高濃度においても増殖したのに対し, 他の菌種は, 乳酸ナトリウムの存在によつて逆に増殖抑制をうけ, 8~9%で完全に増殖が阻止された. 5) 寒天ゲル内沈降反応で, 各菌種には共通抗原と菌種特異抗原の存在が認められた. 以上のごとく各菌種の生物学的, 血清学的諸性状には明らかな違いがあり, したがつてこれらの性状により
Pityrosporum 各菌種の鑑別が可能と考えられる.
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