30歳男性,胸腺腫瘍摘出術を受けた後,両側横隔膜挙上と著明な奇異呼吸が出現した.血液ガス分析により,CO
2分圧が40.0mmHg,O
2分圧が53.0mmHg,pH7.360を示した.気管切開を行って装置による呼吸を開始,坐位訓練,腹筋を用いた呼吸パターンの改善,胸式呼吸と心理的援助により,3週後には装置を用いずに1回換気量0.40
l,肺活量0.60
l,呼吸数24/min,7分間持続可能であった.その後レスピレーターをつけて立位訓練を行い,坐位姿勢ではレスピレーターをはずすことが可能となった.術後6週で肺活量は51%に回復したが仰臥位になるとその41%減となり,腹部の奇異運動を示した.睡眠時の呼吸困難は60度半坐位とし,後には半腹臥位をとることにより解決した.
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