172名の完全対麻痺者に対してアンケート調査と,そのうち55名に対する直接検診を行った.
社会復帰した対麻痺者の松葉杖歩行の利用率はきわめて低く,18%にすぎない.大部分の者が車椅子と自動車にたよって生活している.
松葉杖歩行を行っている者と,いない者の身体状況を比較すると,関節拘縮,褥創,尿路感染,下肢浮腫等の発生は前者が少ない.現実に松葉杖歩行が顧みられない以上,リハビリテーション・プログラムも,その社会環境の変化に従い変わるべきと考えられるが,松葉杖歩行を日常行わないことによって生じるマイナス面に対する対策が必要と考えられる.

抄録全体を表示

RHD術後患者27例に坐位自転車エルゴメーターを用いsymptom limitingを前提とする多段階運動負荷試験を行い,負荷に伴う血行動態,酸素摂取量及び心電図変化により,負荷に伴う心電図ST低下の意義につき,1mm以上の有意な低下を認めるA群,及び1mm未満のB群にわけ検討した.
A群では虚血性心疾患と同様の機序が働いたと考えられ,更に運動中のSIの増加が少なく,代償性にHRが増加し,更に拡張期を短縮させ,相対的な心筋虚血の関与が示唆され,ジギタリス剤投与にもかかわらず,負荷に伴い有意なST低下をみるものは,心臓のポンプ機能異常の反映と考えられ,虚血性心疾患と同様に過負荷所見を示すものである.

抄録全体を表示

1.新生児より80歳未満までの健康人,男性595名,女性621名の計1,216名について,大腿直筋とハムストリングスの伸張度を測定した.
2.大腿直筋の伸張度について,(1)年齢的推移については男性は小児の方がよく加齢とともに減少する傾向にあったが,女性は15～20歳未満が最低となっており加齢による影響があまりみられなかった.(2)性差については8歳で5%以下の危険率で,7歳および9歳より70歳代までですべて1%以下の危険率で有意差をもって女性の方がよかった.(3)左右差については男女とも全年齢を通じて有意差はみられなかった.
3.ハムストリングスの伸張度について,(1)年齢的推移については男女とも1歳が最高で男性は以後加齢とともに徐々に減少していた.女性は1歳のピーク後,2歳,3歳,4歳と減少するが,4歳以後60歳代まではほとんど変化なく70歳代で急に再び減少していた.(2)性差については3歳,5歳で5%以下の危険率で,4歳および6歳より60歳代まですべて1%以下の危険率で有意差をもって女性の方がよかった.(3)左右差については男女とも全年齢を通じて有意差はみられなかった.
4.大腿直筋の伸張度とハムストリングスの伸張度との間には,相関関係はみられなかった.

抄録全体を表示

札幌市白石区在宅ねたきり老人の年齢構成,ねたきりの原因疾患,ねたきりの期間,日常生活動作,衛生状態,医師の定期管理,住宅の状況,部屋数,家族数,介護者の実態,リハの訓練率,死亡老人の調査等について,文献的考察を加えて報告した.

抄録全体を表示