等運動性求心性および遠心性筋収縮時の筋トルク値と角速度の関係を検討する目的で角速度10,30,60,120deg/sec下での健常正常男子9例の肘関節屈曲筋トルク値を測定した.いずれの角速度下においても筋トルク値は,求心性筋収縮時よりも遠心性筋収縮時のほうが有意に高値であった.遠心性筋収縮時筋トルク値は10deg/secと30,60,120deg/sec間で有意な差異を認めたが,30,60,120deg/sec間相互では有意な差異は認めなかった.求心性筋収縮時筋トルク値は,いずれの角速度間でも有意な差異はなかった.求心性筋収縮時筋トルク値に対する遠心性筋収縮時筋トルク値の比(EMC/CMC)は10deg/secと30,60,120deg/sec間,および,30deg/secと60,120deg/sec間で有意な差異を認めたが,60deg/secと120deg/sec間では有意な差異を認めなかった.これらには筋伸張による運動単位の促通および筋自体に対し伸張を加えることにより収縮張力が増強する機構の関与している可能性が考えられた.
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