Journal of the Japan Petroleum Institute
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総合論文
  • 安武 優希, 内木 武虎, 小畠 健, 渡邊 学
    原稿種別: 総合論文
    2024 年 67 巻 3 号 p. 89-96
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル フリー

    CO2削減に向けて社会が進んでいく中,運輸部門のCO2削減 · カーボンニュートラル達成は非常に重要なテーマと言える。本研究ではガソリンエンジンにおける有望な高効率化エンジンとしてスーパーリーンバーンエンジンにおいて,さらなる高効率化を達成するためエンジンのリーン限界を拡大する燃料組成を検討した。最初に試薬を用いた単一成分試験により燃料性状とリーン限界の関係を明らかにした後,製油所で製造可能な燃料組成を検討した。その結果,化石燃料とバイオ燃料を組み合わせた燃料組成では,スーパーリーンバーンの性能指標の一つであるリーン限界空気過剰率が最大0.25ポイント上昇することが確認された。リーン限界の拡大とノッキングの抑制により,熱効率が最大4ポイント向上した。これはバイオ燃料によるCO2削減効果と合わせると35 %のCO2削減に相当し,エンジンと燃料を市場に導入していくことで,将来の運輸部門の低炭素化に貢献することが可能となる。

  • 長澤 兼作, 光島 重徳
    原稿種別: 総合論文
    2024 年 67 巻 3 号 p. 97-104
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル フリー

    本総説では,固体高分子電解質(SPE)膜を利用し,トルエンと水からメチルシクロヘキサンを直接合成する一段階電気化学プロセスであるトルエン直接電解水素化用電解槽の開発概要を紹介する。トルエン直接水素化電解槽の性能を向上させるためには,セル電圧の低減と電流効率の改善が重要である。これらの特性を向上させるため,電解槽の流路構造,拡散層への化学触媒担持,アノードメッシュサイズ,集電体構造,カソード触媒量に対して最適化を行った。流路構造の検討では,多孔質カーボン流路が最も高い性能を示し,電流効率の向上が顕著であった。トルエン直接電解水素化において電流効率の低下は,カソードでの水素ガス発生に起因する。カソード側の多孔質カーボン流路にPt触媒を担持し,触媒層で発生した水素ガスに対して化学触媒作用によりトルエンを水素化することで,セル全体の電流効率を大幅に向上させた。アノードのメッシュサイズを小さくし,アノード集電体を熱プレス処理することで,面圧の均一性や膜の平滑性が改善され,カソード触媒利用率が向上し,セル電圧が低下した。各種SPE膜のトルエン透過特性を測定し,触媒層の厚さと電解性能の関係を明らかにした。開発した技術の結果,0.4 A cm−2の電流密度でセル電圧は改善前の2.10 Vから1.72 Vまで向上し,連続単流運転で90 %以上のトルエン転化率を達成した。

一般論文
  • 小嶌 正稔
    原稿種別: 一般論文
    2024 年 67 巻 3 号 p. 105-110
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル フリー

    カーボンニュートラルを実現する上で,避けて通れないのが移行期におけるエネルギー供給拠点の確保である。ノルウェーでは,EVインフラ整備が進められる一方,ガソリンやディーゼルなどの燃料供給は円滑に行われており,地域的な供給拠点の消失などは大きな問題になっていない。これはノルウェーの石油製品の流通機構には,製品価格の透明性,円滑な供給と物流を土台に,需要の少ない地域にも順応できる仕組みが組み込まれ,さらに新規参入者が新しいビジネスモデルを持って参入できる仕組みが内包されているからである。本稿は,ノルウェーの石油製品の流通機構構造の形成過程を検証することによって,移行期のエネルギーインフラを形成してきた要素を明らかにし,我が国における移行期のエネルギー流通に求められる要因を示すことを目的とする。

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