概要. 主要項より剰余項の領域分割数が少ない複合ガウス・ルジャンドル求積に基づく精度保証付き数値重積分を提案する.この方法により主要項は精度良く計算でき,剰余項は分割数の削減により計算時間がかかる高階微分の項数を減らせるため,高速高精度に精度保証された積分値が得られる.加えて,直積型公式の適用により重積分における高階微分の項数が抑えられる.2次元及び3次元における数値実験で提案方法の有効性を例証する.
概要. 本論文では高電圧アナログ回路の定数探索に限量子消去を用いた手法を提案する.限量子消去は,一階述語論理式から限量子を除去して,等価となる自由変数を含んだ論理式を導く方法である.これは,安定動作を保証できる範囲の回路定数が得られるため,安全性が要求される高電圧アナログ回路の過去資産を流用した設計に適している.本論文では提案手法を用いて回路定数を求め,回路試作と実験を通し,その有効性を検討する.
概要. 新しいオペレーショナルリスク損失金額データの分析方法を提案する.多変量オペリスク損失金額データの周辺分布を離散分布で,依存関係をD-vine tコピュラで定式化すること,およびMarkov chain Monte Carlo(MCMC)法を用いたベイズ手法によるパラメータの同時推定を行う.また,数値実験により,提案した手法は十分実用的であることが確かめられた.
概要. SIRモデルやSEIRモデルは,感染症の短期的な流行を決定論的に記述した微分方程式系であるが,現実の感染拡大の様相は偶発的であり,人口のダイナミクスをモデルで表現するためには,ランダムな変動を取り込む必要がある.そこで本稿では,SEIRモデルに拡散項を加えた,微小拡散SEIRモデルを考案し,パラメータの推定量の漸近分布を導出する.統計解析ソフトウェアRを用いて人口動態の数値実験を行う.