概要. 本論文ではHypercircle法を用いてPoisson方程式の有限要素解に対する局所事後誤差評価の手法を提案する.当該手法の特徴として,解のH2正則性によらずに関心のある領域における有限要素解の定量的な局所誤差評価を得ることができる.また,2次元および3次元領域で定義されるPoisson方程式に対して数値実験を行って,提案手法の有効性を示した.
概要. カオスを定量化する指標として,リアプノフ指数が一般的に用いられる.一方で,リアプノフ指数と同等の指標として情報理論の観点から提案されたカオス尺度は,データのみから計算できることを利点とするが,リアプノフ指数と差があることが報告されており,カオスの判定に注意を要する場合がある.本稿では両者の差について情報理論的に解釈するとともに,その差分を修正したカオス尺度について提案する.
概要. 数値計算では浮動小数点数とその演算が多く用いられる.浮動小数点数は有限桁の数であるため,浮動小数点数に対する計算結果は浮動小数点数により厳密に表現できず,丸め誤差が生じる可能性がある.浮動小数点演算に対する相対誤差の最良の評価結果がJeannerod とRumpにより示された.本論文では,その議論を符号付き相対誤差に拡張し,和・差・積についてその最適な範囲を示す.