概要. 有向グラフのラプラシアンの第2固有値(固有値の実部の中で2番目に小さい値)について,辺の追加に伴うその増減を考察する.まず,有向道グラフおよび有向木グラフに対して,下流からroot以外の上流頂点へ辺を追加した場合に第2固有値が減少すること,流から下流頂点へ追加した場合は非減少となることを証明する.また,全域木を持つ有向無閉路グラフに対するこの結果の妥当性を考察する.
概要. 光共振系のモデルである池田遅延微分方程式に外力項を加えた問題の分数調波解について精度保証付き数値計算を行う.本稿で扱う池田遅延微分方程式の特徴は非線形項として三角関数を含むことであり,非線形項が多項式型である場合に有効な従来の精度保証法をそのまま適用することができない.そこで,その非線形項に対してオイラー・マクローリンの公式を用いた数値積分で処理をして精度保証を行う.
概要. 行列対数関数の計算法として行列平方根のためのNewton法とPadé近似を組み合わせたinverse scaling and squaring が知られている.特にそのためのNewton法として積形DB反復が考えられているが,この方法は桁落ちを発生させる箇所があり丸め誤差の影響を受けやすい.そこで本論文では,丸め誤差を抑えるため積形DB 反復を改善した反復法を提案し,数値実験によりその性能を評価する.