概要. 本論文では,相互作用するピアノの弦と駒のモデルである,波動方程式と弾性方程式の連成系のシンプレクティック性について考察する.音響現象計算の長時間性により生じる問題に対しては,構造保存型数値解法の有効性が知られている.本論文では,対象の連成系が自然な仮定のもとでシンプレクティックとなり,シンプレクティック法が有効であることを証明する.また,実際に数値実験を行い,その有効性を確認する.
概要. 複数右辺ベクトルを持つ線形方程式の反復法として,ブロック積型反復解法がある.同法は同問題を効率的に解くことができる一方で,右辺数の増加によって近似解精度が劣化することがある.漸化式で計算する残差行列と真の残差行列の間に乖離が発生することが精度劣化の主要因である.本論文ではBlock GPBiCG法とBlock BiCGSTAB法について漸化式の再構築を行い,数値実験を通して提案手法の有効性を示す.
概要. 本稿は高次元数値積分法の一つである準モンテカルロ法のサーベイ論文である.一様分布論に基づく古典的理論や準モンテカルロ点集合の構成法から始め,近年発展を遂げてきた再生核ヒルベルト空間に対する最悪誤差の評価やそれに基づく格子やデジタルネットと呼ばれるクラスの準モンテカルロ点集合の構成および乱択化について概観し,数値実験を通してその実用性を示す.
概要. Taylor級数の四則演算や関数計算は容易に定義でき,プログラム作成も容易である.このプログラムを使えば,四則演算や関数等で定義された関数を容易にTaylor 級数に展開できる.これを使えば,Cauchy の主値積分を1 次の極を持つ積分と見かけ上の特異性を持つ正則な積分に分離できる.1 次の極のある積分は解析的に計算し,残りの正則な積分を数値積分すると効率的な計算法が得られる.