流通研究
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1 巻, 1 号
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  • 黒田 重雄
    1998 年 1 巻 1 号 p. 19-32
    発行日: 1998年
    公開日: 2011/08/16
    ジャーナル フリー
    現代企業はグローバル化するに際して、複雑にして不透明な世界市場の中から自己の標的市場を探し出してかねばならない。小論では、こうしたきわめい困難な意思決定問題に対して研究面、特に比較マーケティングからどのようなアプローチが可能かについて考察する。まず、これまでの研究のサーベイから、比較マーケティング研究を「三つの異質性」の観点でとらえることを提起し、そこから今後の研究課題として三つの発展方向、すなわち、 (1) 経済発展 (段階) とマーケティングの貢献度研究、 (2) システム比較の前提となる分析枠 (フレームワーク) の設定、 (3) 市場の国際比較研究、を考える。そして、 (3) を国際市場細分化研究として検討する。比較マーケティングの研究の今後の発展方向の文脈の中に「国際市場細分化」を位置付けた場合、如何なる分析が可能となるかについて理論的 (実証的) に検討するとともに、上記の課題に対する研究の方向性についても考察する。
  • 考慮集合の視点から
    新倉 貴士, 佐々木 壮太郎
    1998 年 1 巻 1 号 p. 33-49
    発行日: 1998年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本研究では、消費者の製品選択における状況依存性の問題を、考慮集合の形成プロセスという観点から考察し、選択肢間の構造が選択結果に影響をもたらすという文脈効果に焦点をあてた実験を行っている。
    市場での競争構造を反映する文脈効果の存在は、消費者が一体どのように市場を捉えているのかをあらためて問い直すものであり、市場に対する消費者の見方がダイナミックに再構成されていくことを示唆するものである。
    実験では、ある既存の製品カテゴリーに対する新規参入製品と見立てた異質な選択肢の加わった選択状況を設定し、そこから生まれる消費者の認知構造と市場での競争構造の変化を検討する。実験結果が示したのは、新たな競争次元の創造と既存の製品カテゴリー内における選択シェアの偏った変動である。
  • 競争と協調のマネジメント (1、2)
    松尾 睦
    1998 年 1 巻 1 号 p. 51-65
    発行日: 1998年
    公開日: 2011/08/16
    ジャーナル フリー
    営業組織は、市場と組織を結びつける境界連結活動の担い手として重要な役割を果たしているにもかかわらず分析されることが少なかった研究対象である。本研究は、この営業組織に分析の焦点を当て、組織文化と業績の関係をより具体的に検討することを目的としている。実証データに基づく分析の結果、内部競争と協調関係を同時極大化している営業組織ほど高い業績をあげており、そうした傾向は市場不確実性の大きい状況において顕著に見られることが明らかになった。この結果は、内部競争が営業活動に関するイノベーション創出を促進し、協調関係がイノベーションを普及させることによって、組織が不確実性に対処することを可能にしていると解釈できる。競争と協調の必要性は、研究開発・製品開発研究において指摘されているが、性質が異なると思われる営業部門においても同様のメカニズムが働いている可能性が示唆された。最後に、本研究の問題点と今後の課題について議論された。
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