本研究では、消費者の製品選択における状況依存性の問題を、考慮集合の形成プロセスという観点から考察し、選択肢間の構造が選択結果に影響をもたらすという文脈効果に焦点をあてた実験を行っている。
市場での競争構造を反映する文脈効果の存在は、消費者が一体どのように市場を捉えているのかをあらためて問い直すものであり、市場に対する消費者の見方がダイナミックに再構成されていくことを示唆するものである。
実験では、ある既存の製品カテゴリーに対する新規参入製品と見立てた異質な選択肢の加わった選択状況を設定し、そこから生まれる消費者の認知構造と市場での競争構造の変化を検討する。実験結果が示したのは、新たな競争次元の創造と既存の製品カテゴリー内における選択シェアの偏った変動である。
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