流通研究
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16 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
投稿論文
  • :フランチャイズ・チェーンのケース
    小本 恵照
    2013 年 16 巻 1 号 p. 5-33
    発行日: 2013/03/31
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    本稿では、マーケティング・チャネル管理における成果(パフォーマンス)を示す代表的な概念である、感情的コミットメントを醸成する上で(不)公正が与える影響のプロセスを、信頼と内発的動機づけに配慮する中で解明した。それによると、3次元の公正に関する概念を中心に据えたモデルの有効性が明らかになった。分析結果をみると、(1)手続き的公正と相互作用的公正が信頼に対して正の影響を与えており、特に手続き的公正の影響が大きい、(2) 分配的公正と相互作用的公正が内発的動機づけに対して正の影響を与えている、(3)信頼と内発的動機づけが感情的コミットメントに正の影響を与えているということが明らかとなった。
  • ―プロスペクト理論をベンチマークとした実証分析―
    長島 直樹, 西尾 チヅル
    2013 年 16 巻 1 号 p. 35-59
    発行日: 2013/03/31
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
     本研究は利用者によるサービス評価が、非対称性や非線形性を伴うことを検証し、マーケティングへのインプリケーションを探ったものである。プロスペクト理論が提唱するような非対称性や非線形性がサービス評価においてどのように表れるか、物販サービスに関して検証を行った。その結果、随所に非対称などの特徴が現れた。例えば、サービスのプロセスと結果が総合評価を説明するモデルでは、結果評価が低いことによる総合評価への悪影響は、結果評価が高いことによる好影響を上回ることが判明した。また、プロセスの序盤、中盤、終盤の各段階の評価がプロセス評価を説明するモデルでは、スピードが主に評価される序盤はプロスペクト理論の関数形が適合する。つまり、スピードに関する評価が低いとプロセス評価が著しく悪化する一方、同評価が高くてもプロセス評価はあまり向上しない。これに対して、共感要素が主として評価される終盤は異なる特徴が示された。
特集論文~戦略とイノベーション
  • ―脱コモディティ化戦略の実行可能性に基づいて―
    高嶋 克義
    2013 年 16 巻 1 号 p. 61-76
    発行日: 2013/03/31
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
     環境変化に対応してマーケティング戦略の転換が要請される状況において,企業がその戦略転換を実行できないことがある。この問題については,これまで移動障壁として市場構造要因による説明がなされてきたが,本研究では企業が組織的な要因により戦略転換が制約される局面を捉えることにする。とくに脱コモディティ化のための製品差別化戦略の転換を例にあげて,企業がある組織アーキテクチャを選択し,それと補完的な制度と組織能力が形成されることに基づいて,その組織アーキテクチャと整合しない別の戦略への転換の困難性がもたらされる局面を説明するものである。
  • 髙田 英亮
    2013 年 16 巻 1 号 p. 77-97
    発行日: 2013/03/31
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
     製造業者が自社製品を流通させるにあたり、どの程度垂直的に統合されたチャネル形態を用いるかというチャネル統合問題に関して、これまでさまざまな研究が行われてきたが、1980年代以降、その問題を検討する有力な理論の1つは、Oliver Williamsonの取引費用理論である。これは主に企業の境界やガバナンス構造の選択を説明する理論であり、それをチャネル統合問題に適用した研究では、流通資産の特殊性がチャネル統合度に正の影響を及ぼすという基本仮説が提示され、多くの実証分析においてその経験的妥当性が確認されている。他方,取引費用理論に対しては、ケイパビリティ理論の研究者などによって、企業の境界やガバナンス構造の選択を説明する要因として、資産特殊性に代表される取引費用要因のみならず、生産活動やイノベーションに関わるケイパビリティ要因も重要であるということが指摘され、この点を踏まえた研究が行われている。本稿は、そうした研究の1つであるDavid Teeceの企業境界論を再構成したうえでチャネル統合問題に適用し、理論的・経験的な検討を行う。Teeceの企業境界論の特徴的な主張は、企業間の取引費用のみならず、企業内外のケイパビリティとも関係する2つの要因の交互作用、具体的には、専有可能性レジームの弱さ×補完的資産の特殊性と、イノベーションのシステム性×市場の薄さが補完的資産・活動の内部化に正の影響を及ぼすというものである。この主張を踏まえて、本稿では,専有可能性レジームの弱さ×流通資産の特殊性と、生産・流通活動間のシステム性×流通市場の薄さがチャネル統合度に正の影響を及ぼすという仮説が提示される。その後、提示された仮説の経験的妥当性を確認すべく、わが国の製造業者から得た卸売チャネルに関するデータを用いて、潜在変数間の交互作用モデル分析と階層的回帰分析が行われる。その結果は、本稿の仮説を経験的に支持するものであった。
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