購買企業とサプライヤーは伝統的に利害が対立する敵対関係にあったが,近年両者は協調的な関係を築くようになってきている。本研究では,このような購買企業とサプライヤーの関係性における変化を踏まえ,購買企業のサプライヤーに対する協調志向性がサプライヤー選択基準の重要度に及ぼす影響および先行要因が購買企業のサプライヤーに対する協調志向性に及ぼす影響について考察した。日本の製造業企業を対象として実施した調査に基づいて検討した結果,サプライヤーに対する協調志向性が主要な選択基準の重要度に及ぼす影響および先行要因がサプライヤーに対する協調志向性に及ぼす影響に関して,日本企業がアメリカなど日本以外の企業と異なる点があることが示された。その理由として,日本企業と日本以外の企業との購買取引における慣行の違いが考えられる。
本稿では,販売効率の異なる流通業者を介して財を販売する生産者が,いずれの流通業者に優先的注文権を与えるかを検討する。主な結論は,流通業者間の効率格差が大きく,効率的な流通業者に優先的販売権を与えると,非効率な流通業者の参入を容易に阻止できる場合,生産者は非効率な流通業者に優先的注文権を与えるというものである。逆に,効率的な流通業者に優先的販売権を与えても非効率な流通業者の参入を阻止できない場合には,効率的な流通業者に優先的販売権を与えることになる。