流通研究
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12 巻, 4 号
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論文
  • 近藤 公彦
    2010 年 12 巻 4 号 p. 4_3-4_16
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/07
    ジャーナル フリー
    小売業者にとってPOS 情報は、効果的なマーチャンダイジング(MD)を実施し、取引先に対して有利に交渉を進めるうえできわめて重要な情報である。このため、POS 情報は取引先に全面的に公開しないことが常識と考えられてきた。コープさっぽろはこの常識を覆し、POS 情報を全面開示することによって取引先からのMD 提案の仕組みをつくり、新たなチャネル・パートナーシップを構築した。本研究はコープさっぽろをケース研究の対象とし、協働MD 組織の役割、取引先とのwin-win 関係、模倣困難性などの視点からPOS 情報開示に基づくチャネル・パートナーシップ構築の理論的検討を行い、チャネル研究の新たな課題を提示する。
  • 結城 祥
    2010 年 12 巻 4 号 p. 4_17-4_30
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/07
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は、流通市場の変動に直面する製造業者が、「新規販路開拓」と「主要取引先との関係性」のバランスをいかに管理するのかを、理論的・実証的に説明することである。学習理論に基づき仮説を導出し実証分析を行った結果、流通市場の変動が増すにつれて、成果が芳しくない製造業者は新規販路開拓のみを強化すること、他方で良好な成果を収めている製造業者は、新規販路開拓と主要取引先との関係性を同時並行的に強化することが明らかにされた。
  • 小宮 一高
    2010 年 12 巻 4 号 p. 4_31-4_44
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/07
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,商業集積のマーケティング活動を考える前提として,商業集積の組織に関わる既存研究を整理し,その活動主体となる組織の特性を明らかにすることである。商業集積のマーケティング活動を「商業集積の小売ミックスを統制し,商業集積の事業者の利益や顧客満足を高める活動」とした場合,その活動を担う商業集積の組織の多くは,組織構成員の独立性が高く,またその活動が影響を与える空間的範囲も限定される,不完全な組織特性をもつ。そして,そのような不完全な組織では,合意形成に工夫を施しながら自己組織的な性質を利用したマーケティング活動を実行する必要がある。既存研究から示唆される以上の組織特性を踏まえた上で,将来的に商業集積マーケティング論を構築するための課題を提示する。
  • 金 雲鎬
    2010 年 12 巻 4 号 p. 4_45-4_56
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/07
    ジャーナル フリー
    従来の卸売流通研究では,卸売企業が情報システムを導入するのは厳しい取引環境の中で生き残るための戦略として説明する視点が多く,情報システムを導入するメカニズムに関する議論は少ない。特に市場シェアを拡大している大規模卸売企業がなぜ・どのように情報システムを導入するのかに関してはあまり議論されてこなかった。これに対して,本稿では小売企業との企業間関係に注目して,大規模卸売企業が情報システムを導入するメカニズムを分析する。延期—投機理論を分析枠組みとして,リスク転嫁とプロセス革新の局面から捉える。分析の結果,大規模卸売企業の情報システム導入は,延期行動であり,小売企業との間での共同革新によって起こることが主張される。
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