流通研究
Online ISSN : 2186-0939
Print ISSN : 1345-9015
ISSN-L : 1345-9015
16 巻, 4 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
特集論文
  • ― 取引費用に基づく考察 ―
    高嶋 克義
    2014 年 16 巻 4 号 p. 1-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/29
    ジャーナル フリー
     小売企業に商品を供給する卸売企業や製造企業などのベンダーが,小売企業に対して個別適応的な商品企画や販促企画を提案し,小売企業がその MD 提案を利用して店舗差別化をはかることがよく行われている。しかし,ベンダーが特定小売企業に適合した MD 提案を行うためには,取引特定的な資産形成に関わるホールドアップ問題が回避されることが条件となる。本研究では,小売企業の組織構造が集権的な組織になるほど,取引行為の予測可能性が高まることでホールドアップ問題が回避され,ベンダーが個別適応的な MD 提案を行う傾向にあることを実証分析を通じて明らかにするものである。
  • ― ナレッジマネジメント・アクティビティの効果 ―
    岩下 仁, 石田 大典, 恩藏 直人
    2014 年 16 巻 4 号 p. 13-33
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/29
    ジャーナル フリー
     本研究では、市場志向と商品開発の媒介変数としてナレッジマネジメント・アクティビティを構築し、経済成果に至るモデルの統計的な検証を試みた。ハイテク企業を対象とした調査の結果、市場志向のうち、顧客志向と競争志向はナレッジマネジメント・アクティビティと逆 U 字の関係にあるが、職能横断的統合はナレッジマネジメント・アクティビティと U 字の関係にあった。さらに、ナレッジマネジメント・アクティビティは商品品質優位性へプラスに影響し、商品品質優位性は商品差別化を引き起こし経済成果へプラスの影響を与えていた。
  • 森村 文一
    2014 年 16 巻 4 号 p. 35-53
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/29
    ジャーナル フリー
     小売企業は,市場変動に対して MD(マーチャンダイジング)を修正し適合させることが重要となる。日本は特に地域性や短期的需要変動が大きく,広く深い品揃えを形成することが求められる。つまり,期首のMD 計画と実売との乖離が発生し易く,実売データを直接観察可能な店舗の販売情報処理が重要となる。加えて,小売企業は,様々な地域性に直面する多数の店舗を展開しており,いかにして組織的に店舗情報処理を促進し管理するかが重要な課題となる。本研究は,MD 計画情報処理と顧客ニーズ情報処理という 2 つの店舗情報処理と,課題志向と人間志向という 2 つの店舗マネジャーのリーダーシップの関係を実証的に検討した。課題志向行動が高い場合 MD 計画情報処理が高まれば店舗営業成果が高まること,人間志向行動が高い場合顧客ニーズ情報処理が高まれば店舗営業成果が高まることが明らかとなった。主に商品部に焦点が当てられてきた小売購買行動に関する先行研究において,店舗情報処理に関する実証的研究が十分でない中,店舗情報処理の促進と管理という知見が得られた点が,本研究の意義である。
feedback
Top