流通研究
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6 巻, 2 号
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  • 行本 雅, 成生 達彦
    2003 年 6 巻 2 号 p. 1-14
    発行日: 2003年
    公開日: 2011/08/16
    ジャーナル フリー
    多数の零細な店舗の存在は、我が国の小売部門の特徴として多くの研究者によって指摘されてきた。京都府でも、 (飲食店を除く) 小売店舗数は1982年の40,896店をピークに、それ以後は減少しており、1997年には32,764店となっている。本稿では、1979年から97年までの京都府の市区別のパネルデータを用い、このような小売店舗数 (または密度) の変化がいかなる要因によってもたらされたかを検討する。主要な結論は、小売店舗密度の低下傾向は1980年代中盤以降の乗用車の普及と住戸あたり面積の拡大という2つの要因によってある程度説明されるということである。これらの要因によって消費者の物流課業遂行能力が向上し、彼らが多くの課業を分担するようになるとともに、大規模店の出店が促されたために店舗数が減少したのである。その意味で、店舗密度の低下は社会経済的環境の変化への適応の結果として解釈することができる。
  • 久保田 進彦
    2003 年 6 巻 2 号 p. 15-33
    発行日: 2003年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    リレーションシップ・マーケティング研究は大きな発展を遂げてきたが, その全体像はやや分かりにくいものとなっている。その大きな原因としてあげられるのが, リレーションシップ・マーケティングの中に, 経済的アプローチと社会的アプローチという, 本質的に全く異なる2つの流れが存在することである。本研究ではそれぞれのアプローチを整理し, リレーションシップ・マーケティングの全体像について再確認を試みる。またこの作業を通じて, リレーションシップ・マーケティングの今後の研究課題についても検討を加える。
  • トイザらスとカルフールの日本進出を事例として
    白 貞壬
    2003 年 6 巻 2 号 p. 35-51
    発行日: 2003年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    この論文の目的は、段階別戦略行動というカギ概念に注目しながら、グローバル・リテーラーの海外戦略の意思決定や戦略行動が、参入時、参入後に段階別に変化することを指摘することである。小売企業のグローバル化をめぐる理論は、ドメスティック行動からグローバル行動への戦略行動の拡大プロセスを理論的に解明しようとしてきた。しかし、小売企業のグローバル行動の中で、標準化-適応化問題という戦略行動が参入時と参入後で変化するということに対して、認識がやや希薄であった。この問題を明らかにするために、日本におけるグローバル・リテーラーであるトイザらスとカルフールの戦略行動の変化を時系列に追い、従来対立すると考えられてきた標準化-適応化戦略が参入時、参入後の段階においていかに統合されるかを分析した。
  • 藥袋 貴久
    2003 年 6 巻 2 号 p. 53-68
    発行日: 2003年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    営利活動を行う企業が、なぜ非営利なマーケティングに関わらなければならないのだろうか。これまでの議論の多くは、その論拠を「マーケティングが社会的に認められるためには、当然のこととして非営利な活動に関わるべきだ」というような価値判断に求めてきた。しかしながら、マーケティングの取り扱う財や手段が不可避的に外部効果を発生させることに注目し、そうした外部効果にマーケティングがどう対処するのかという問題を考慮するならば、それは価値判断に拠らない論拠の構築に道を開くものであるという考え方ができる。そこで本稿では、環境問題を考慮したマーケティングに注目して、このような考え方をより明らかにした。
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