財を基本的な分類次元としていたこれまでのサービス・マーケティング理論は、理論的実務的問題をうまく扱えなかった。そこでの議論は、有体財・無体財という取引客体を分析対象とする議論で、実体論に偏ってきた。しかし、商学・マーケティングの核心は取引過程に関する問題である。
本研究の目的はサービス・マーケティング研究を取引概念と財の認定概念によって再構築することにある。従来の財による分類定義とは異なり取引概念を中心として分類された枠組みが提示される。そのことにより、例えば、製造業でもサービス取引を選択することもでき、サービス業でも有体財取引を選択することができることを示す。この概念枠組みによりマーケティング戦略問題が扱えるようになる。
この論文では「取引」概念に基づいて、商学課題を理論的にも実務的にも解決するための概念枠組みを提示する。最後に、サービス取引の研究は今後関係概念で分析が進められなければならないことを提言する。
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