本稿は、現在および将来に向けての社会経済環境の変化に対応した、マーケティング理論のあらたな展開の方向を探るものである。
その環境変化のひとつは、廃棄物のリサイクル・チャネルの構築問題である。従来型のそれと新しいチャネルの基本的な違いは、後者が市場システムと公共 (非市場) システムの統合による、あらたな調整システムであるという点にある。
いまひとつは、従来の私的・個別的消費と異なった公共的・集合的消費 (公園、街路、文化施設など) のニーズに、どのように対応するかという問題である。この分野も、市場システムと公共システムの中間に位置するいわば準公共財のマーケティング問題といってよい。
市場システムと公共 (非市場) システムとの連係を視野に収める新しいマーケティング理論は、Market・Hierarchy・Networkパラダイムのもとで展開されよう。とくにマーケティング・ネットワーク概念をマーケティング論の基礎概念におくことによって、あらたな理論構築が可能となる。
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