流通研究
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1 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 阿部 真也
    1998 年 1 巻 2 号 p. 3-15
    発行日: 1998年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本稿は、現在および将来に向けての社会経済環境の変化に対応した、マーケティング理論のあらたな展開の方向を探るものである。
    その環境変化のひとつは、廃棄物のリサイクル・チャネルの構築問題である。従来型のそれと新しいチャネルの基本的な違いは、後者が市場システムと公共 (非市場) システムの統合による、あらたな調整システムであるという点にある。
    いまひとつは、従来の私的・個別的消費と異なった公共的・集合的消費 (公園、街路、文化施設など) のニーズに、どのように対応するかという問題である。この分野も、市場システムと公共システムの中間に位置するいわば準公共財のマーケティング問題といってよい。
    市場システムと公共 (非市場) システムとの連係を視野に収める新しいマーケティング理論は、Market・Hierarchy・Networkパラダイムのもとで展開されよう。とくにマーケティング・ネットワーク概念をマーケティング論の基礎概念におくことによって、あらたな理論構築が可能となる。
  • トヨタと日産
    成生 達彦, 上田 薫
    1998 年 1 巻 2 号 p. 16-28
    発行日: 1998年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    チャネル (組織) 文化の相違は、異なる共同利得の分配ルールを導き、販売業者 (構成員) の努力提供にたいして異なる誘因を与えることによって、組織のパフォーマンスに影響を及ぼす。本稿では、文化を “平等主義の程度” によって分類し、より平等主義的な文化によって特徴づけられるチャネルの方が、販売業者が多くの努力を提供する結果、チャネル全体のパフォーマンス(市場占有率) も高くなることを示す。このことは、チャネル間の競争を考慮した場合でも成立する。その意味で、本稿の議論は、多面的な文化のいかなる特性 (原因) が多元的なパフォーマンスのいかなる側面 (結果) に影響するのかを明確にするとともに、チャネル文化がチャネル間の競争に与える効果をも明らかにしている。
  • 日本企業とアイルランドQ社の比較を通して
    本田 一成
    1998 年 1 巻 2 号 p. 29-43
    発行日: 1998年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本稿は、第1に、日本のスーパーマーケットの従業員の課間移動、ストア問移動、領域問移動、職能間移動に注目してキャリア管理の特質を明らかにし、それを標準化戦略および本部・ストア間の権限配分から説明する仮説を提示する。第2に、その仮説に基づいて実施した海外現地調査、特に本稿ではその中でも日本と共通点の多いアイルランドのスーパーマーケットに対する調査結果を分析し、仮説の補強を行うとともに、国際比較のための応用範囲を探索する。
    アイルランドの調査結果からキャリア管理の特質が摘出されるものの、標準化戦略と本部・ストア問の権限配分によって規定されている点は日本と同様である。したがって、キャリア管理の異同の指摘だけにとどまらず、多国間で共通する論理の妥当性をさらに検討することが要請される。
  • 業態変動のミクロ基礎
    近藤 公彦
    1998 年 1 巻 2 号 p. 44-56
    発行日: 1998年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    この論文の目的は、革新と競争というカギ概念に注目しながら、小売商業形態論の分析視角とその問題点を議論し、新たな課題を提示することである。小売商業形態論は小売の輪仮説以来、小売商業における業態変動メカニズムの理論的解明を目標としながら、抽象度の高いマクロ理論を構築しようとしてきた。そこでは、小売企業レベルの業態創造と競争のプロセスを小売商業レベルの業態変動に集計化・一般化する一方、小売企業のそうしたミクロ行動はブラック・ボックスとして捨象される。しかし、わが国における大規模小売企業の業態多様化という現状を踏まえたとき、このような分析視角は大きな問題に直面することになる。この問題を克服するための小売商業形態論の新たな展開の方向性は、小売企業の業態創造と競争のプロセスを明示的に組み込んだミクロ基礎をもつマクロ理論を確立することである。
  • -ベイズ型コウホート分析法を用いての一考察-
    山下 貴子
    1998 年 1 巻 2 号 p. 57-77
    発行日: 1998年
    公開日: 2011/08/16
    ジャーナル フリー
    わが国の人口構成・世代構成は近年、大きく変化してきている。一方で、産業界においては「高齢化・少子化社会」の進行と、それに伴う消費構造の変容は重大な関心事であるにもかかわらず、マクロでみた市場の高齢化や世代の交替がもたらす消費への影響について、その体系的理論枠組みは未だ提示されるに至っていない。
    本稿を端緒とする一連の研究の目的は、時系列上で家計消費行動に変化を与える時代要因、世帯主の年齢要因、世代要因といった三つの要因を、ベイズ型コウホート分析法を用いて統計的に分離し、さらにそれらを消費の背景となる社会的・文化的文脈の中で解釈し、これらの結果を踏まえて少子高齢化社会が進行する中でのマクロレベルの消費者行動の変容を説明するドライバーを解明することである。定量、定性両方向からの相互補完的接近を通して、消費者行動をより巨視的かつ動態的に分析を行う。
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