文献レビューより導いた下位概念を用い,他の要素との相関を検討した先行研究はあるが,カスタマー・アドボカシー志向の中心概念の構成要素を入念に探求したものは,これまでなかった。そこで本研究において,その中心概念の構成要素を抽出し,様々な企業カテゴリーに適用可能な汎用性の高い尺度を開発する。先行研究とインタビュー調査から得られたデータを基に行った質的調査から,構成要素の抽出と整理を行った。事前調査を行った後,不変性の確認を行うため時期とサンプルを分けて2度の本調査を実施した。その結果,様々な企業カテゴリー間で使用できる汎用性と頑健性を兼ね備えた,5因子15項目で測定できる尺度を開発した。
本稿では,結婚や育児,介護等プライベート領域の市場化において,伝統的な役割規範が維持されるプロセスを,Butler(1990)のパフォーマティビティの概念に基づいて明らかにすることを試みる。より具体的には,「婚活」ブームを通して配偶者探しの市場化が普及する一方で,男性の経済力を重視するといった伝統的な役割規範が維持されるプロセスを明らかにする。これまでの研究は,市場調達における利用者の矛盾やストレスを解決する方法や,市場をアイデンティティ構築の場として活用するといった観点であり,消費者のエージェンシーを前提とした研究であった。本稿では,新たな実践の採用(再意味化)と伝統的規範の引用という両面から,変化のプロセスを検討する。分析結果からは,実践を促進する言説が,伝統的規範に矛盾しないという言説と同時に展開されることで,市場化が促進されつつ伝統的規範が維持されたという可能性が示された。
本研究の目的は,カスタマー・アドボカシー志向の成果を構成する要素を抽出し,汎用性と頑健性を備えたカスタマー・アドボカシー志向尺度を用いた成果モデルを構築することである。本研究では,成果要素の抽出と整理を行う質的テキスト分析を行った。先行研究レビューおよびこの質的テキスト分析を基に,多様性の高いサンプルを使用した確認的因子分析によって,7因子22項目からなる成果モデルを構築した。「従業員満足」,「顧客満足」,「信頼」,「感情的コミットメント」,「行動的ロイヤルティ」,「アドボケイト」,「企業業績」が,CAOと高い関係性をもった成果要素として認めることができた。
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