流通研究
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4 巻, 1 号
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  • 消費者情報処理から消費欲望の創発へ
    栗木 契
    2001 年 4 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    消費は、選択のプロセスである。例えば、消費者が缶コーヒーを買おうとするとき、競合する缶コーヒーのなかから特定の銘柄が選択される。この選択意思決定のメカニズムをとらえることも、たしかにマーケティングの重要な課題である。だが、消費者は選択を望んでいるのではない。消費者は、欲しいものを手に入れたがっているのである。A.F.Firatが言うように、購買意思決定とは、必要をよりよく満たす製品やサービスを選択する意思決定であると同時に、何を必要とするかを確立する意思決定でもある。消費は、このように少なくとも二つの意思決定のための情報処理を通じて達成されるのである。
    本稿は、この二つの情報処理の相互の関連性を検討する。二つの情報処理の機構が相互に独立して作動している限り、特定の製品やサービスの購買へと消費者が向かうための中心的なドライビング・フォースを獲得することはできない。だが、両者が相互の作動を触発し合いながら進行するプロセスを形成するとき、消費者は当該の製品やサービスの購買へと向かうことになる。われわれは、今ここで作動している消費欲望の起源を、この自己準拠的な循環する関係に見いだすことができるのである。
  • SERVQUALの再検討
    松尾 睦, 奥瀬 喜之, プラート カロラス
    2001 年 4 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    これまで、SERVQUALに代表されるサービス・クオリティ研究では、サービスの非有形的側面が強調される一方で、有形的な側面はあまり注目されてこなかった。従来のSERVQUALがサービスの有形的側面を「有形性」という単一の次元として捉えてきたのに対し、本研究ではNelson (1970) とZeithaml (1981) の類型を援用して「経験的有形性」「探索的有形性」という2つの有形性次元をSERVQUALに導入した。本研究の目的は、ホテル宿泊客に対する調査から、「経験的有形性」及び「探索的有形性」の構成概念の妥当性を検証するとともに、SERVQUALの各次元が持つ、総合評価への相対的影響度を検討することにある。分析の結果、 (1) 有形性の次元は、顧客がサービスを直接経験することによって評価される「経験的有形性」と、経験せずとも情報探索を通して判断することのできる「探索的有形性」に区分され、 (2) 非有形的な次元に比べ有形的次元の方が全体のサービス知覚、全体満足度、再利用意向に強く影響している点が明らかにされた。
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