企業間競争の激化等の要因により,企業は技術的・市場的に新規性の高い新製品を以前よりも頻繁に導入することが求められている。このような新規性の高い新製品開発においては,新製品開発者が如何に正しい判断を行えるかという点が大きな課題となる。本研究では,先行研究,統計分析の結果をもとに,戦略的状況における意思決定の行われ方として,分析的判断,直観的判断,連想的判断の3つが存在することを明らかにした。その上で,技術的・市場的に新規性の高い新製品開発において,どのような意思決定がより有効なのかについて明らかにした。
本研究は,ポジショニング戦略と経営資源のような企業特殊的要因(firm-specific factors)が,チャネル構造と結合することにより,マーケティング成果に如何なる影響を与えるのかを経験的に分析したものである。従来のチャネル研究は,チャネル構造の選択およびチャネル管理行動を考察する際に,企業特殊的要因を考慮するという視点に欠けていた。また,既存研究は,チャネル行動が企業の市場成果および財務成果に与えるインパクトに関する経験的証拠の蓄積を疎かにしてきた。本研究は以上の点に着眼し,前方チャネルの統合に関する製造業者の意思決定が,当該企業のポジショニングおよび保有資源のあり方と符合して行われるのか否かが,ブランド資産の強化と財務成果の向上というマーケティング成果を規定するという分析モデルを提示し,その経験的妥当性を日本の製造企業396社から収集したサーベイデータを用いて検証する。