消費行動と購買行動は明確に異なっているにもかかわらず、マーケティングの領域において、消費者行動論は主にブランド選択に焦点を当てるミクロな観点から研究されてきた。その結果、消費者行動論では個々人の短期的な購買行動に議論が集中してきたといえる。このことに関する批判はこれまでにもなされているが、具体的な代替案を、特に消費者行動論独自の問題設定という観点から論じることが本稿の目的である。
この代替案としては、集団としての消費者の消費行動そのものを歴史的視点から眺めるという作業が考えられるが、このような視座が経済学や社会学といった関連学問と異なった独自の問題を取り扱うために、マーケティングにおける市場問題の重要性を論じている。
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