流通研究
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20 巻, 2 号
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投稿論文
  • 中川 宏道, 星野 崇宏
    原稿種別: 投稿論文
    2017 年 20 巻 2 号 p. 1-15
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/31
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    値引きとポイント付与とでは,どちらのセールス・プロモーションの効果が大きいのであろうか。本研究では,食品スーパーにおける集計された購買履歴データを用いて,ポイント付与に関するプロモーション弾力性および値引きの弾力性の推定をおこない,両者の効果の比較をおこなった。プロモーション弾性値の測定の結果,ベネフィット水準が高くなるほど値引きの弾性値が高くなる一方,ポイント付与の弾性値は低くなる傾向が確認された。これらの結果,商品単価が低く値引率・ポイント付与率も低いときには,ポイント付与の方が値引きよりも売上効果が高くなることが確認された。小売業が低いベネフィット水準においてプロモーションをおこなう場合には,値引きよりもポイント付与の方が有利であることが示唆される。

  • 久保田 進彦
    原稿種別: 投稿論文
    2017 年 20 巻 2 号 p. 17-35
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
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    ブランド・リレーションシップがどのようにして形成されるかを明らかにすることは,当該領域における重要なテーマである。そこで本研究では,プロパティー・アプローチとパートナーシップ・アプローチという補完的関係にある2つの基盤的アプローチを参考にして,リレーションシップの形成について説明するモデルを構築し,一般消費者を対象としたデータを用いて検証を行った。この結果,ブランド・リレーションシップは,ブランドが自己イメージやアイデンティティの形成,表象,呈示のための小道具として認識されることによっても,安心感や支援をもたらすパートナーとして認識されることによっても形成されることが明らかになった。またこれら2つの側面の相対的重要性は,関係の進展や消費者の年齢によって変化することが明らかになった。

  • 李 東俊, 成生 達彦
    原稿種別: 投稿論文
    2017 年 20 巻 2 号 p. 37-48
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/15
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    本稿では,小売サービスを必要とする消費者とそれを必要としない消費者の2種類の消費者が存在する市場を想定し,メーカーのチャネル政策について検討する。本稿の結論は2つである。第1に,メーカーは系列店を併用することで,量販店のみの場合よりも多くの利潤を得ることができる。というのは,メーカーはサービスを評価しない消費者には量販店を介して低価格で販売する一方,サービスを評価する消費者にたいしては系列店を介してサービスを提供することによって,(小売価格は高くなるが)多くの量を販売できるからである。しかしながら,量販店と系列店の価格差が大きくなると系列店が存続できなくなり,メーカーの利潤は少なくなる。第2に,このことを回避するために,メーカーは量販店の小売価格に下限を設定するのである。これらのことを踏まえて,我が国家電メーカーのチャネル政策について検討する。

  • 結城 祥
    原稿種別: 投稿論文
    2017 年 20 巻 2 号 p. 49-64
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/14
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    製造業者による製品開発は,自身が埋め込まれた取引ネットワークの特性,すなわち顧客との取引関係やチャネル構造によって大きな影響を受けると考えられる。しかしマーケティング・チャネル論は,取引関係の管理やチャネル構造の設計・選択が製品開発成果に及ぼす影響のメカニズムを等閑視してきた。そこで本論は,この既存研究の空白地帯を埋めることを目的に,マーケティング・チャネル論と製品開発論に依拠して仮説を導出し,わが国の製造業者から得られたデータに基づく実証分析を行った。その結果,①顧客群との信頼関係構築によって,製造業者は良質な市場情報の入手が可能になり,それによって製品の有用性が向上すること,②顧客群との信頼関係は製造業者の自律性を高める効果も有しており,その結果,新奇性の高い製品の開発が促されること,③チャネルの閉鎖性は製造業者の自律性を低下させ,新奇な製品の開発を妨げる効果を持つことが見出された。

  • 久保 知一
    原稿種別: 投稿論文
    2017 年 20 巻 2 号 p. 65-79
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/26
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    「小売の輪」に代表される小売業態イノベーション研究では,歴史的な小売業態の変遷についての計量的研究がほとんど行われてこなかった。したがって,新規小売業態の参入ポジションやその後の発展経路に関する理論仮説は,エビデンスを欠いたままの状況にある。本論では,破壊的イノベーションの概念枠組に基づいて,我が国における50年間にわたる複数の小売業態をとる小売企業のパネルデータを構築し,新規小売業態の参入ポジションと発展経路に関する実証分析を行った。分析の結果,新規小売業態は既存小売業態に比べて明らかに優位なポジションからは参入しないこと,発展経路は従来から知られてきた格上げに加えて持続的イノベーションがあること,格下げによる発展は観察されなかったことが見出された。

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